ニッポン派閥主義 --- 岡本 裕明

アゴラ編集部

ドラマ「相棒」をご覧になっている方は多いと思います。私にはそのベースに流れているのが最も日本らしい「派閥主義」だと感じるのですが、そう思われた方はどれぐらいいるでしょうか? 特命係に仕事を取られていつもいやみを言う伊丹刑事。彼は常に特命係がホシを挙げ自分のところの手柄を取られた、と苦い思いをしているのですが、これはドラマの世界であって、現実の世界となれば激しい争いで一進一退の状況が起きているのではないでしょうか?


社内競争が本当にうまくワークするのか、独立採算制が本当にワークするのか、ということはよく考えなくてはいけない部分があります。確かに競争心を煽ることで社内の部なり、課なりのセクション同士で相手よりよい成績をとることを使命としますが、その際には相手の情報を探ったり、相手にちょっと邪魔したりすることもあるかもしれません。競争とはある意味、醜いものを見せ付けられることもあるということです。

ソニーが不振を極めた理由のひとつが社内が一丸になっていないことが挙げれられています。ソニーの夢よ、もう一度、だったのですが、マインドの高揚とプライドが社内の風通しをむしろ悪化させただけでなく大きな会社なのに小さなチームが数多く存在するグループの集まりと化してしまった気がします。

ですがこれはソニーに限りません。たぶん、どこの会社でも起きていることです。

先日、私はソーシャルゲームは日本で新陳代謝しながら生まれたこれから期待できる業種だと述べました。一方で「規制」という縛りでその成長を止めようとする動きもあるとしました。その規制は縦割り行政の中で誰が主導するのか、お互いにけん制しあいながら誰かが駒を進めたら俺も、俺も、ということになりかねません。実際、消費者庁、経済産業省、総務省、警察あたりがその候補だと思いますが、これも「手柄欲しさの規制」となってはまるで意味がありません。

経済産業省に至ってはむしろ、ソーシャルゲームという産業輸出を図るのが本来の意味合い。例えば、先日、テレビでチラッと見かけたのが「クールジャパン」の海外輸出。経済産業省が後押ししていて初音ミクやメイド喫茶が海外でクール、として受け入れられてきています。ソーシャルゲーム業界は世界中に足がかりを築き始め、そろそろ海外からの収益も実現化する見込みです。その本家本元の日本で首根っこを閉めてしまうのは派閥主義が見せる功績重視以外のなにものでもありません。

先日有罪が決まった大阪地検特捜部の事件。あれも一種のセクショナリズムの弊害であったと考えればすっきりするでしょう。

日本で二大政党制が根付きそうで根付かない理由は何でしょうか? それは何党であっても内部が小さく分裂し、戦国時代が常に起きているからでしょうか。それは一種のオセロのようにも見えます。黒と白の陣地をどうやってとっていくか、そこには小さな組織が右へ左へとその立ち位置を変えていくわけです。だから、日本で政党はひとつでも10あったとしてもほとんどその違いを意味することがないとすれば割とすんなり理解できます。

派閥主義が変わることはあるのか、といえば唯一、日本が外からの競争に刺激を受けたときだと思いますが、それもひと時で伸びたゴムのようにまた元に戻ります。明治維新がそうでした。長い歴史の中で育まれた日本人の特性ですから変わることはないのでしょう。ならば、それを理解したうえでその特性を生かすようにしていくことが大事ですし、それが弊害とならないようにすることがもっと大切だと思います。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年4月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。