世代間格差を巡る本当の問題は何か?

2012年04月10日 07:00

社会保障や財などの負担と給付に関して、若い世代ほど大きな負担を強いられるという世代間格差の問題は、もはや繰り返して説明する必要もないだろう。本稿ではこの問題に関して整理すべき三つの論点を提示したい。


第一は、解決に向けた着地点が見通せないという、この問題の最大の難点である。世代を通じた公平性とは何か、応能原則・応益原則はどのように課すべきか、世代間の移転をどう考えるか、など難問は尽きない。さらに難しいのは、所得再分配政策がこの問題の解ではなく(すなわち厚生経済学の第二定理をそのまま適用することができな)、世代間問題の背景にある社会制度そのものを変革しなければ、真の解決に至らないということである。経済成長や少子化の解消といった要因に依存していたのでは、いつになっても解決することは難しい。

第二は、解決のための手続きである。世代間問題で留意しなければならないのは、いたずらに世代間対立を煽っても問題は解決しないということである。高齢者にはその言い分もあるし、若者層の立場も辛い。単純に人口の数だけで決めるなら、マジョリティーを占める高齢者の政治的ウエイトにかなわない。したがって、世代間格差を若者の側の考え方で縮小しようとすれば、それは冷静な理論の積み重ねによって、高齢者世代(あるいは政治家?)を冷静に説得していくことであろう。

第三は、世代間格差は誰の問題か?という点である。若者層にも高齢世代にも、経済学で扱う“代表的な個人”は存在しても、しかし現実に具体的な顔を眺めるといろいろな個人が混ざっているという点である。高齢世代がすべて“得”をしているわけではないし、若者世代にも祖父母などから多額の遺贈を受けた者もいるだろう。問題を簡潔にすると議論はしやすくなるが、それで見逃してしまう重要なポイントもある。例えば、高齢層の中の世代内格差の問題を世代間格差とどう結び付けて考えるのか、なども欠かせない。もし高齢世代にさらなる負担をお願いするのであれば、それは(当然であるが)余裕のある高齢層を対象としなければ意味がない。余裕のない高齢層の負担は、公的扶助の点から現役世代の負担を増やす可能性もあるからだ。

この三つの論点だけでも合意を得ることは至難の業であるとすると、我々はどこからこの問題に手をつけていけばいいのだろうか。

世代間政策研究所
加藤 久和(明治大学)

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