仙谷氏の昨日の発言に就いて

2012年04月17日 12:06

読売新聞が伝える所では、原発停止が続くなら「日本は集団自殺」との認識を示したとの事である。

民主党の仙谷由人政調会長代行は16日、名古屋市で講演し、原子力発電所の再稼働について「電力なしに生活できないことは、昨年の東京電力の計画停電騒ぎで極めて明らかだ。止めた原発を一切動かさないなら、日本は集団自殺するようなことになってしまう」と述べ、国民生活の安定のために再稼働は不可欠との認識を示した。

昨日のアゴラ記事、原発行政は既に破綻しているのでは?(続編)で、民主党が稚拙な展開をするのではとの危惧を示した。

他人事ながら、何分我らが民主党の事である。何の理論武装も出来ず、顔面に橋下氏の強烈なパンチを浴びてノックアウトされてしまう気がする。

しかしながら、今回の仙谷氏発言は自分から顔をパンチの前に差し出し、当りに行ったとしか思えない。余りに稚拙な発言である。

きちんとした数字を示す事無く、「集団自殺」と言う判り易い表現で国民の「不安」や「恐怖」を煽り、原発再稼働に誘導を図ると言うのは、政権与党に取っては本来禁じ手の筈である。

根底にあるのは、自分達に比べて国民は知的レベルが低く、説明してやっても理解出来ないと言う思い上がりではないか?国民を愚民扱いにしている訳である。

面倒で手間かもしれないが、矢張り拙速を避け、国民に向き合って下記項目を丁寧に説明すべきと思う。

夏場の電力需要ピーク時に節電を強要され、熱中症で落命する犠牲者が多数出るかも知れない。停電に依る経済損失は甚大である。電力不足を忌避する製造業の海外逃避が加速する。当然失業者が増加する。法人税、住民税共に減る。原発停止を補う為、化石燃料使用する発電所の稼働が必要で、必然的に電力会社は追加の燃料代を負担せねばならない。これは、最終的には需要家である企業、国民負担となる(具体的には、電力料金値上げ)。
手持ちのデーターではこれが精一杯である。当然の事ながら、ケースー3を下記項目他定量分析する必要がある。夏場の電力需要ピーク時の需給バランス。 熱中症犠牲者の推定数。停電に依る経済損失額。製造業の海外逃避に依る失業者増加の推定数。それに依る法人税、住民税推定減少額。電力料金値上げに依る、企業、家計の推定追加負担額。

さすれば、国民は原発停止継続に依り、原子炉内に仮保管されている使用済み核燃料が増えないメリットと、上記ディメリットを比較対象して検証する事が可能となる。

繰り返して恐縮であるが、流石に「集団自殺」は無いだろうと言うのが実感である。

橋下氏を「ポピュリズム」と批判する識者、論者が多いが、国民の所まで下りて来た上で、意を尽くして説明を繰り返す姿勢に共感を覚えている国民が多いのも事実である。

「ポピュリズム」の台頭を許すものは、さしたる実績、能力が無いにも拘わらず国民より数段高い所から物申す姿勢を決して改めようとしない、政権与党の姿勢にあるのではないか?

今一つ奇異に感じるのは、民主党執行部に於ける、懸る状況(原発停止)に至った経緯に対する正しい認識と反省の不在である。

そもそも、恣意的に管前首相が浜岡原発を停止させた事が問題の発端ではないのか?

そして、民主党の現執行部は浜岡原発停止前年の党首選に於いて菅氏を支持したのではないか?

こういった過去の経緯の検証や、自分達の負うべき責任を先ずはきちんと認識すべきではないのか?

これを置き去りにして、見事にするっと体を入れ替えまるで他人事の如く、原発停止に依り生じる厄災を「集団自殺」と国民に責任転嫁して恥じない様では、結果、国民の不満は高まり支持率が低下するのも当たり前の話ではないだろうか?

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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