何故「天下り」を許してはいけないのか?

2012年04月28日 13:33

一昨日のアゴラ記事、電力は「第二の米」になるに対し、早速辻先生より下記コメントを戴いた。

「「バラマキ」を止めず、政府が肥大化すれば歳出はまるで雪だるまの如く膨れ上がる。野田首相は消費税増税に熱心であるが、穴の開いたバケツにコップで幾ら水を継ぎ足してもバケツの水が一杯になる事はない。その内、嫌気がさして、作業を止めてしまうのが落ちである。野田政権が目指すべきは、バラマキや政府の肥大化に決別をし、冗費削減を徹底した、コンパクトで効率の良い政府の筈である。」とのことですが。山口さんは桁を間違えているとしか思えない。 天下りは財政に影響を与えるほど大きな問題ではないし、枝葉末節に過ぎない。日本政府は世界的にも小さな政府です。社会保障が本質的な問題。 感情的にならず、冷静な分析をして下さい。

呆れる程議論が噛みあっていない。

私の主張は、本来民間に任せて於けば良い話を、天下り先創出の為に官が無理やり事業化し、結果、雪だるまの如く損失を膨らませ税金で処理する事になるとか、今回の太陽光発電の強制買い取りの制度化に依り、結果、「米」の如く高額な電力価格や補助金投入の常態化を指摘したものである。

一方、辻先生は肝心の部分をばっさり切り落とし天下り官僚の人件費のみの話にすり替えておられる。

天下りは財政に影響を与えるほど大きな問題ではないし、枝葉末節に過ぎない。日本政府は世界的にも小さな政府です。社会保障が本質的な問題。 感情的にならず、冷静な分析をして下さい。

繰り返しで恐縮であるが、天下り官僚の年収は@2,000万円程度と推測する。これに、天下りの三種の神器、個室、専属秘書、送迎用ハイヤー等の経費を合算しても、年間、@6,000~@7,000万円程度で確かに大した金額ではない。

問題は、仮に民間企業に天下れば企業は経費の何倍もの利益を上げて回収を図る。これは、結局税が無駄に使われる事を意味する。

更に悪いのは、意味不明な外郭団体をでっち上げて事業を実際に行うケースである。

グリーンピアの悲惨な例が記憶に新しい。

これは、厚老省がグリーンピアと言う名のレジャーランドを全国に13箇所建設し、赤字を垂れ流し続けた結果、行き詰まり、民間に売却したと言うものである。

年金保険料1,953億円を投じたグリーンピアの売却総額は、わずか約48億円であった。グリーンピアの廃止・譲渡が終了後、年金資金運用基金を廃止し、2006年4月に資金運用業務に特化した「年金積立金管理運用独立行政法人」を設立した。

成程、13箇所のグリーンピアに館長として天下ったのは13名のみかも知れないが損失は表に出ているだけでも莫大である。

同じ厚労省の私のしごと館も悲惨さでは決して負けていない。

581億円をかけて建設し、毎年20億円の赤字を垂れ流し、手仕舞いしたくても買い手がつかない。

独立行政法人雇用・能力開発機構は、2010年(平成22年)5月31日に、旧「私のしごと館」の土地建物を一般競争入札により売却する公告を行ったが[20]、同年8月30日の締め切りまでに入札参加者は無かった。そのため、第2回の入札公告が行われたが、2011年(平成23年)1月24日の締め切りまでに入札参加者はなかった。

仮に館長一人が天下りしていたとすれば、この天下りポストの創出、維持の為に使われた「税」の金額は天文学的なものと呆れる。

一方、これ程の不祥事を起こしながら、厚労省は誰も責任を取っていない。それがどうしたんだと言う所であろう。

総務省は更に遥かに厚顔無恥である。

以前のアゴラ記事、そもそも地デジで何か良い事があったのか?で指摘した通り、地デジ対策の名目で一兆円以上を投入予定である。

何故、私企業のインフラ整備やサービスの為にこれ程巨額の国費を投入せねばならないのだろうか?

私は以前キー局の幹部に、夕方急な呼び出しを受けた事がある。

ロビーで待ち合わせをして、そのまま夜の街に向かったのであるが、随分と立腹していた。

その日、総務省の幹部に呼び出しを受け、訪問したら、「役所の仕事に疲れたから暫く休みたい。お前の所で席を作れ」と言われたらしい。

結局、この官僚は独立行政法人 情報通信研究機構 に理事で天下った。今もきっと優雅な渡り鳥生活を楽しんでる事であろう。

さて、今私が最も深刻だと危機感を持っているのが「電力行政」である。

補助金も入れたら@50円/kWh近くにも達する太陽光発電の強制買取が言語道断である事に、何故皆気が付かないか、不思議でしょうがない。

電気事業連合会公表の最新電力需要実績を参照すれば、国内電力需要は約1兆/kWh弱と言う事だ。

従って、小学二年生レベルの計算であるが、全てを太陽光発電で賄うとすると
@50円/kWh×1兆/kWh=50兆円と言う結論である。

一方、石炭火力の発電単価は@5円/kWhと聞いているので、同様、
@5円/kWh×1兆/kWh=5兆円と言う事になる。

太陽光発電と石炭火力の発電コストの差額は、45兆円となり、消費税の20%相当の増税に匹敵する。

前回の記事の下記部分はこの事実を説明した積りであった。

今一つ危惧するのは、今回の太陽光発電と言うアドバルーンに隠された、民主党政権の「バラマキ体質」である。「大きな政府」志向と言っても良いかも知れない。「バラマキ」を止めず、政府が肥大化すれば歳出はまるで雪だるまの如く膨れ上がる。野田首相は消費税増税に熱心であるが、穴の開いたバケツにコップで幾ら水を継ぎ足してもバケツの水が一杯になる事はない。その内、嫌気がさして、作業を止めてしまうのが落ちである。

昨日の経産省官僚OB、古賀氏の下記Tweetが今更ながらであるが生々しい。

@kogashigeaki 今晩の報道ステーションに少しだけですが、ビデオでコメントしま​す。東電の事業計画。何故株主と銀行を守るのか?本来責任を取る​べき者を守って、いきなり国民に負担を求める。さらに、事故の最​大の責任者である経産省が東電を自分のものにして、事実上の天下​りを派遣する。焼け太りの極致だ。

本来、かかる経産省の暴走に対し、政治がブレーキをかけ、制御すべきなのである。

しかしながら、「政治主導」を唱える小沢議員に対し検察を中心に官僚組織は一丸となり潰しにかかった。

本来、同志として小沢議員を守るべき民主党の現在の幹部議員は、菅前首相を筆頭に、これ幸いとこれに便乗し、小沢議員排除に動き、政権を盗み取る事に成功した。

しかしながら、国を担うに際しての何の経験、実績もなく、露骨に言ってしまえば「無能」の極地と言う事で、結果、「官僚」の言いなり、最早、「官僚」の使い走りでしかない。

従って、決められない政治 に取って代って、官僚が省益を基軸に何でも好き勝手に決めて行く事になる。

マスコミも何時までも、「小沢vs反小沢」の如き手垢の付いたテーマに狂奔するのではなく、こういった日本が直面する根本的な問題を取り上げてはどうだろうか?

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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