自民党という地下茎

2012年05月14日 20:44

政府はこの夏の電力不足に対応するため、最大20%の自主的な節電要請を行なう方針だという。この要請は、法的根拠のない行政指導である。他方、福井県のおおい町議会は原発の再稼働に同意したが、他の地元自治体はすべて反対なので、地元の同意を条件としていたら、夏には間に合わないだろう。この地元同意にも法的根拠はない。


自民党政権の時代には、ここまでひどい無法状態にはならなかった。山本七平は『「派閥」の研究』で、自民党の役割を「西洋から輸入した法律が日本社会の実態とかけ離れて役に立たないため、その間をとりもつ」ものだとし、特に省庁が縦割りでそれを統括する内閣の権限が弱いため、派閥は各官庁を裏でつなぐ地下茎のようなものだと述べた。それを仕切ったのが、田中角栄や金丸信に代表されるフィクサーだった。

現在の民主党政権は、その地下茎も切れてタコツボ化した官僚組織が、政治のコントロールもきかないで行政指導を乱発する危険な状態だ。こういうとき自民党政権なら、よくも悪くも財界が政権に圧力をかけ、自民党が「汚れ役」になって調整するが、霞ヶ関を敵に回した民主党政権にはそういう調整能力もない。法改正で対処しようとしても、国会がねじれていて機能しない。

要するに、法律と行政のギャップを埋めてきた自民党の非公式の調整機能がきかなくなったことが、現在の混乱の原因だと考えられる。この混乱を収拾する根本的な対策は一つしかない。法律を実態に合わせて改正し、内閣が各省庁を指揮する普通の法治国家になることだ。そういう改革を打ち出せるのは橋下徹氏しかいないのだが・・・

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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