リスクにどう向き合うべきか

2012年06月07日 12:27

ユーロ危機が深刻化しています。昨年は東日本大震災がありました。 このように、我々の周りには、様々なリスクがあります。 ここでは、こういったリスクにどのように向き合ったらよいのか、考えたいと思います。

簡単に言えば、正確に予測可能なリスクについては、長期的な視点で物事を考えるのがよく、突発的に起きる予測困難なリスクについては、リスクの大きさの評価(estimate)をきちんと行うことが大事です。 


予測可能なリスク

まず、正確に予測可能なリスクについて考えましょう。

一例として、日銀の抱えるリスクについてまず、考えてみましょう。 包括緩和で日銀の資産が増え、今年中に日銀資産のGDP比は、欧州金融危機で資産を増やしているECBを抜き世界の中央銀行の中でトップになりそうです。 

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仮に、財政破綻が起きた場合のことを考えれば、このときは国債を新規発行するわけには行かず、国も地方もプライマリーバランスを一気に黒字化する必要が生じるわけで、ざっと40兆円ほどの財政改善を一気に行わなくてはならないことが分かります。これは、全ての公務員の人件費をゼロにしても遥かに及ばない額なので、財政破綻が起きれば、消費税は20%以上にしなくては、ならないことがすぐに分かります。

このように考えれば、早急に消費税を20%以上に上げて、財政破綻を回避した方が、混乱や財政破綻後の生活難を考えれば、遥かにましです。

以上のように、正確に予測可能なリスクについては、長期的な視点で政策を選んでゆくのがよいでしょう。 長期的な視点で見ることで、リスクがはっきり捉えられ、対策も立てやすくなるからです。 

予測不可能なリスク

一方、地震のように、正確な予測が難しいリスクは、世の中に数多く存在します。これらについては、どのように対処すればよいでしょうか? 

これについては、正確な予測ではなく、リスクを評価することが大事です。 つまり、どの程度の大きさのリスクがあるのか、凡その大きさを予め考えておくのです。 

例えば、現在、話題になっている、原発再稼働について言えば、巨大地震が起きる確率、想定される事故の規模、といったものは、大体の予測は可能でしょう。 これを元に、リスクの期待値を見積もることは可能で、これと、再稼働を止めたり、先延ばしした場合の不利益とを、金額に換算して、天秤に掛ければよく、毎年燃料費の増加3兆1千億円が見込まれる現状では、言うまでもなく再稼働が正しい判断です(そもそも再稼働を延期してリスクがどの程度減るのかも疑問なわけです)。

こういったことを書くと、人命軽視という、いわれのない批判がありそうですが、所謂、天変地異にあたるものは、地震などにはとどまらず、巨大隕石の衝突といったものまであります。 全てのリスクに対応した生活など不可能です。 

例えば、東京で巨大地震が起きる確率は、100年といった長いスパンでなくても、ほぼ1ですが、それに対応して、東京都に人が住まないというのは非現実的だということは理解できるのに、原発の再稼働に反対というのは、理解不能です。 一部の煽動家による一種の集団催眠としか思えませんが、この国民感情を政治に利用する動きもあり、正常な判断が出来ていない状態です。   

同様に、幾ら、首都圏直下型など巨大地震の危険があるからといっても、土木工事などで防げる被害はどれほどのものなのか、評価する必要があります。 防災の必要性は言うまでもないことですが、巨大堤防があった岩手県でも東日本大震災では大きな被害が出ました。2倍の高さの堤防を作るには、約8倍の費用が掛かります。 一方、東日本大震災の被害は約25兆円です。 費用対効果を考えれば、自民党が提唱する、国土強靭化基本法を制定し、10年間で、200兆円の土木工事を行うというのは全くナンセンスでしょう。

リスクの大きさや政策の効果を正確に把握して、考えることが大事です。 

日本人は長期的視点を持てないのか

どうも最近の政治の動きを見ていると、日本人は、長期的視点を持てないのではないか、という疑念が湧いてきます。 国民は、感情で動いており、原発の再稼働は反対だが、電気料金の値上げには反対、とか、財政再建には賛成だが、それは公務員や政府が身を削って行え、早く景気を良くしろ、といった無理難題を政府に突き付けているように思えます。 野田総理の消費税増税法案への賛成を要請され、それを断った小沢一郎氏が、「国民の支持は我々にある」と言うのを聞くと、「まさか、そんなことはあるまい」と思う一方、「いや、そういう危険性もある」という疑念も消し去れないのです。   

将来不安を抱えながらも消費を減らさない国民 を見ると、どうも、国民が正しい判断を持てなくなりつつあるのかと、心配です。 

国民が長期的視点を持てるようになることを切に希望します。

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