社会保障の闇

2012年06月11日 11:16

朝日新聞が伝える所では、子どもの貧困率、日本ワースト9位 先進35カ国中でとの事である。

日本の子ども(18歳未満)の貧困率は14.9%で、先進35カ国のうち悪い方から9番目の27位――。国連児童基金(ユニセフ)がこんな報告書をまとめた。今年発表の国際比較でも悪化傾向に歯止めがかからず、深刻な状況が改めて示された。 日本のデータは、2009年の所得を基にしている。

この結果を前にして、読者の皆さんはどう言った印象をお持ちになったであろうか? 貧困率の定義とかが必要な事は言うまでもないが、それにしても35ヶ国中で27位は悪過ぎる。

更に、2009年のデーターを使用との事であるから、2012年ベースだと若しかしてお尻から5番以内に入っているのではと心配になってしまう。老人ばかりに金を使って、結果、日本の子供達が貧困で苦しんでいて、一体何が「平均寿命世界一」だと言う気になる。

問題は、豊かだと信じ切っていた日本社会が、何故、弱い子供達を犠牲にして、何も感じない国になってしまったかである。

私は1955年生まれなので、1960年代に小中学校時代を過ごしている。小学校に入学した頃は、敗戦後15年しか経っておらず、給食費を払えない子供が決まってクラスには何人かいた。

修学旅行の積立金が払えず参加出来ない同級生もいた。当時は「貧困」は何も特別な話ではなく、何処にでもある風景で、担任の教師を筆頭に回りが痛みを和らげていたと思う。

その後、日本は高度経済成長の上り坂を駈け上がり、私が見た話はまるで過去の「昔話」の様になってしまった。そして、「貧困」から辛い思いをしたに違いない子供達の思い出に封印をしてしまった。まるで、二度とそういう悲しい話は起こらないと言わんばかりに。

日本のシステムは登り坂を駈け上がる様に設計されており、下り坂を歩いて降りる様には、どうも出来ていないと思うのである。

三日前のアゴラ記事、民主党は「子育て支援」の旗を降ろしたのか?でも説明したが、矢張り政府は「子育て」に今少し踏込、積極的に支援すべきと思う。

その理由の第一は、この世に生れ出て来た子供に対し、事情が変わったので今一度母親のお腹の中に帰ってくれとは言えないと言う事である。私も、両親が揃っていて彼らが愛情を持って育てるのがベストであると思う。

しかしながら、事情があって「シングルマザー」になってしまったとか、更には、「シングルマザー」の手に職がなく自立が難しいとか、子供の貧困の背景は様々である。子供を見殺しにしない為には、政府が積極的に支援に乗り出すしかない。

今一つの理由は、現在の社会保障の仕組みが、老いて働けなくなった高齢者の生活費、医療費を現役世代が負担すると言う事になっている点である。

成程、結婚する自由、独身でいる自由、子供を持つ自由、持たない自由は憲法で保障されている。一方、現役時代しっかり働き、納税し、社会保障を負担して来た人間が、引退し、今度は現役世代の世話になると言うのは正当な話かも知れない。

しかしながら、自分は子育ての苦労や負荷から逃げ出し、ちゃっかり他人の育てた子供の世話になっていると言った非難も、強ち的外れとは言えない。

読者の方には多分ちっとも面白くない、泥臭いだけの話かも知れないが、私は二十歳を過ぎたら出来るだけ早く職を得、納税し、社会保障費を負担すべきと思っている。更に、生活が安定すれば結婚し子供を作るべきとも考えている。

子供の養育は20年以上を要するが、地道に育て上げ、「役に立つ人間」として世の中に送り出して行かねばならない。

こう言った、当たり前の事を、当たり前に、きちんとやり続け、少しも誇らない、と言う事を、我々の親の世代はやって来たのだと思う。

しかしながら、極めて残念な話であるが、経済的に困窮した親を持つ子供が多数いる事も事実である。「子供は親を選べない」のであるから、国が積極的に関与し「機会の平等」を保障すべきである。

現政権の売り物である、「社会保障と税の一体改革」の中身が「消費税増税」以外ちっとも見えて来ない。

自民党は、増税と言う不人気な政策に真摯に取り組む野田政権に、難癖といちゃもんを次から次へと付けている様であるが、そもそも、問題を拗らせ、此処まで国債残高を膨らませたのは自民党である。日本国民が自民党に愛想を尽かすのは当然の事である。

消費税増税は当然、必然であるが、併せて、老人に食い尽くされている社会保障費を、貧困に苦しむ子供達に振り向ける様な「社会保障の改善」とセットで行われねばならないと思う

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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