今年も気をはく日本車の品質管理

北村 隆司

レクサス6月20日に発表された、米国の権威ある市場調査機関JDパワー社の「2012年新車品質調査(IQS)」によると、高級車と一般車を合わせた35ブランドの中で、第1位にトヨタ自動車のレクサスが選ばれている。


それに続いて、ジャガーとポルシェ、キャディラックとホンダ、アキュラとインフィニティがそれぞれ同列で2、3、4位を占め、トヨタ車が5位につけている。

驚きは、その美しいスタイルと故障の多さから「車庫の前に置いて置くのがベスト」と揶揄されてきたあのジャガーが、昨年の20位から今年は、ポルシェと共に2位にランクされた躍進振りであった。

21に分類された車種別のトップを見ると、GMの健闘が光り、 Buick Enclave; Cadillac Escalade; Chevrolet Malibu; GMC Sierra LDの4車種でトップを飾り、 Fordが Expedition, Mustang and Taurus, レクサスが ES 350, LS and RXとそれぞれ3モデル車種でトップを占めている。それに続きインフィニテイが EX-Series, M-Series、日産がFrontier, Ques、トヨタがCorolla, Yarisと2モデルのトップにランクされている。(トヨタと日産をブランドではなく会社別に集計すると、トヨタ製が5モデルでトップ、日産製が4モデルでGMと並んで2位になる)。

その他は、 Honda CR-V; Kia Soul; Mazda MX-5 Miata; and Volvo C70と続き、BMWとベンツはここでも振るわない。

「週末の事が気になって仕事に身が入らない金曜日の午後に作られた車と、週末の遊び疲れが抜けない月曜日の午前中に作られた車は、買ってはいけない」とからかわれていたGM車が、会社が破産整理から立ち直って間もなくこれだけ品質が良くなるのであれば、東電も一旦破産させた方が良いのかも知れないなどと余計な事を考えさせられた。

米国製に追いかけられ、一時の圧勝時代には及ばないが「品質の日本車」の面目は今年も守り続けたと言える。

南イリノイ大学の助教授が行った売名目的と思われるやらせ実験が原因で大量のリコールを強いられ、33車種中の21位まで転落した2010年のトヨタ車の品質評価もやっと正常に戻った感じである。

日韓両国が絡んだランキングには異常に敏感な韓国の報道具合を、電子版で覗いて見ると、東亜日報、朝鮮日報にはこのレポート結果は全く報道されていなかったのに対し、中央日報は「現代車、米JDパワー品質調査で7階段下落」と言う見出しで「JDパワー社が発表した『2012年新車品質調査(IQS)』で、現代車の順位が11位から18位に7つも落ちた。』と冷静な報道していた。

ハイテク機器の採用で先行している言われるフォード車は売り物の「MyFord 」「 MyLincoln」と言う情報システムへの苦情がたたり、2010年の5位から2011年には23位迄後退したランキングが今年は27位までずり落ちたと報告されている。

意外なのは、日本では高級車としてファンの多いBMWの品質評価の低くさで。今年の評価レポートで2005年以来初めて10位にランクされた程度であるのは意外である。

それに比べると、多くのモデルチェンジをしながらトップファイブを維持したホンダの底力は「さすが」だと言うコメントは、素人の私には理解できかねるが、なにかこそばゆさを感じた。

「もの作り日本」の看板は早く下ろさないと日本の将来は暗いと考えている私だが、JDパワーズが選んだ「自動車製造ラインの品質管理賞」には、 ホンダCR-Z と ホンダFitを製造しているホンダの鈴鹿工場が世界一の「プラチナ賞」に輝き、北中南米のベスト工場にはトヨタのカナダにあるオンタリオ工場が、そして欧州アフリカ地区ではVolvo社の Uddevalla工場がそれぞれ金賞を授与されている。もの作り日本は未だ健在だ。

政治の混乱と世の中のネガテイブな報道が目立つ時, 日本車の品質の確かさを伝えるこのニュースは、酷暑を吹き飛ばす為の一助になるのではと思い、取り上げた次第である。

参考:

Target=”_blank”>NYタイムスの記事

北村 隆司