シャープと台湾・鴻海精密工業の資本業務提携(続編)

2012年06月26日 10:20

日経新聞がシャープと台湾・鴻海精密工業の資本業務提携を発表してからの三か月後を伝えている。予想はされていた事であるが、こうやって改めて新聞記事で読むと妙に生々しさを感じるのは私だけであろうか?


この日経記事に接し、改めて3月のアゴラ記事、シャープと台湾・鴻海精密工業の資本業務提携を読み返してみた。成程、下記の如き布石が既に鴻海精密工業会長に依って、メッセージの形式で打たれている。

「日本は消費者向け電子機器メーカーの役割から脱却し、高度な技術開発と国際的なブランド力構築という新しい役割を引き受ける」。鴻海の郭台銘董事長がこの日の会見に合わせ、こんなビデオレターを寄せたように、日本メーカーにはテレビビジネスの一段の見直しが求められている。

露骨に言ってしまえば、鴻海精密工業が筆頭株主の立場でシャープに求めるものは「高度な技術開発」を通じての貢献であり、決して価格競争力を喪失してしまった電子機器の製造、販売ではないと言う事である。

勿論、国内に残る工場と言う名の過剰の生産設備や工場勤務の多くの労働者は不要となり、一瞬にして不良債権化する。

5月のアゴラ記事、日本から本社が消える日で説明した通り、製造業に取って本社とは工場に寄生する極めて労働生産性の低い組織体に過ぎない。鴻海精密工業がその存続を望まないのは明らかであろう。

飽く迄、私の個人的な推測に過ぎないが、シャープも鴻海精密工業から一定の「リストラ」要求は覚悟していたと思う。しかしながら、実態は「技術開発」を残して後は売却、撤退の要求ではなかったのか? どうも、「会議室に響き渡った怒号」の背景はこの辺りと思う。

シャープの顛末はドラマチックで実に印象的である。しかしながら、理解されねばならないのは、決してシャープ個別の問題ではないと言う事である。「家電」全体の問題であろうし、日本の状況を鳥瞰すれば、大なり小なり、全ての製造業に共通する一般状況ではないのか。

日本の製造業が、好む好まざるとに拘わらず、「構造改革」の崖っぷちに立たされているのである。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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