AKBとジャニーズにみる戦略の違い

2012年07月08日 14:08

(via Speed Feed
去年まではCD販売力、という点でみると、AKB48 vs 嵐、の図式だったけれど、今年はどうやらだいぶAKBにジャニーズは差をつけられてしまったようだ。


とはいえ、他のアーティストのCDセールスは目を覆うばかりなので、依然AKBとジャニーズの戦略行動の巧みさが光っているのが現状だ。

この二つのアイドルグループ群のマーケティング戦略を簡単に説明すると以下の通りになる。

共通点は以下のようなものだ。
・若年層からオトナにまでアピールできる、ビジュアル重視のティーンエイジャーを商品化
・セクシーさよりは親しみやすさ、中性的であったりロリータ的な世界観
・似たようなグループを量産し、少しずつテイストを変えることでファンを分別しつつ、クロスさせる
・楽曲はあまり凝らず、シンプルなメロディ・リズム、分かりやすい歌詞を使う

両者が異なるのは、AKB系はネット媒体への露出に積極的であるのに対し、ジャニーズはほぼ全く露出させないという点だ。

AKBのほうが優れているのは、CDを売るという直接的な目標に向けて徹底していることであり、総選挙や握手会などへの参加や、ファンとしてサポートしたい個別のメンバーを応援するためにCDを買う、という行動理由を消費者に与えることに成功している点だ。商法としては昔からある「仮面ライダースナック」「プロ野球カード」「ビックリマンチョコ」などのように、商品であるはずのお菓子(やCD)よりも、おまけであるカードやシール(や握手券)などに希少価値を与えるやりかただ。雑誌社の宝島が、アパレルブランドと組んで始めた、特製景品付きの雑誌販売とも似ている。

AKBがそれらの例より巧みなのは、宝島やスナック類のやり方が商品とおまけの双方に関係性が薄く、そのおまけをもらっても、商品自体への愛着を深めることはないのに対して、AKBでは商品である女性アイドルとの接触という直接的なおまけであり、彼女たちへのロイヤルティをアップさせる良いインセンティブであることだ。 (とはいえ、CD自体が捨てられる、何枚も同じものを買わせることになる、という悪い副作用があり、ソーシャルゲームのコンプガチャ同様”射幸心”の悪用という誹りを受けつつあることは、改善が必要だろう・・・・)

オバマ大統領は、彼独自のSNSから献金してくれた支持者に、お礼の電話をしたりディナーに招待するなどのインセンティブを用意したが、これに通ずるところがあるといえる。

そして、AKBとジャニーズが共通して成功している要因としては、音楽性をあまり追求せず、「歌謡曲」の提供に徹しているということだ。彼らの曲はシンプルで覚えやすい。だから歌いやすい。そのため、カラオケやパーティーの余興などでも当然歌われやすいということになる。(これはEXILEにも通じる)
カラオケは日本人にとって年代を問わずに一般化した文化であり、カラオケで使われやすいということは、一曲ごとの利用料もアーティストに入るし、結果としてCDも売れやすいということになる。つまり、先進的で音楽的にも優れた楽曲を作ろうとして、クリエイティブに入り込もうとすることで、かえってカラオケで歌われづらい→CDが売れない、という負の図式を作っているアーティストが多いのだ。

AKBとジャニーズは、この点をよく理解しているが、LADY GAGAもまた同じで、それほど音楽的に新しさはないが、覚えやすく分かりやすく、ビジュアルにインパクトを待たせつつソーシャルをうまく活用して、シンプルなメッセージを世界中に広げることに専念している。

芸術性の高い作品は、アルバムに一曲か二曲忍ばせることで我慢して、売れる曲、歌われる曲を作る。あとはソーシャル化して、できるだけ広い層とコミュニケートする。これは話題作りとポップアートの天才アンディ・ウォーホルが相当前に証明した手法であり、堂々とみんなでパクるべき良い戦略なのだ!

「アンディ・ウォーホルについてすべてを知りたいなら、僕の絵と映画、僕の表面を見るだけでいいんだ。そこに僕がいるからね。裏には何もないよ」
「現代では人は誰でも15分間は有名でいられるさ」
「僕は退屈なものが好きだ。まるっきり同じことが、何回も繰り返されるのが好きなんだ」

小川浩@ogawakazuhiro

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