鳩山さん、小沢さん ─「マニフェスト」を復習しましょう!

北村 隆司

「政権交代」と言う大きな見出しと共に、鳩山さんの写真が表紙を飾った「2009年衆院選民主党政権公約(マニフェスト)」には、以下の様な「政策各論」が掲げられていました。

民主党の行きと届いた心遣いで、国民の各層、各階級にお年玉が渡される政権公約に、国民が期待を寄せて民主党に投票した事は間違いありません。

今年になって、鳩山、小沢両氏は「民主党はマニフェストに違反している」と主張され出されましたが、お二人の仰る通りで,諸手を挙げて賛成します。ただ、お二人の言うマニフェストと、実際のマニフェストが余りにも違うので「復習」をお願いする次第です。


問題の「消費税」の件は、マニフェストには消費税を財源として「最低保障年金」を創設すると書いてあるだけで、他には消費税を上げるとも下げるとも書いてありませんが、誤解でしょうか?

処で、政策各論でお二人が国民にに約束した55項目の殆どが実行されていない責任は、どなたが負うのでしょうか? 余りにも盛り沢山の約束をされましたので、マニフェストをさらに要約しますと:

【ムダづかい】

  1. 現在の政策・支出をすべて見直す
  2. 特別会計、独立行政法人はゼロベースで見直し、公益法人は原則廃止
  3. 公務員OBを官製談合防止法の適用対象に
  4. 国家公務員の天下りあっせんは全面禁止▽総人件費を2割削減
  5. 企業団体献金、世襲を禁止
  6. 衆院の比例定数を80削減。参院は衆院に準じて削減
  7. 一般会計・特別会計は企業会計に準じた財務書類の作成

【子育て・教育】

  1. 出産時に55万円まで助成
  2. 子ども手当(中学卒業までの子供1人当たり年31万2千円支給)
  3. 公立高校生の授業料相当額を助成▽私立高校生には年額12万円(低所得世帯は24万円)を助成▽大学などの学生に希望者全員が受けられる奨学金制度を創設
  4. 生活保護の母子加算復活、父子家庭にも児童扶養手当を支給

【年金・医療】

  1. 年金記録被害者へ、一定の基準の下で「一括補償」を実施
  2. 消費税を財源とする「最低保障年金」を創設
  3. すべての人に7万円以上の年金を支給
  4. 介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる

【地域主権】

  • 霞が関を解体・再編し、地域主権を確立.基礎的自治体に権限と財源を移譲
  • 国の出先機関を原則廃止
  • 自動車関連諸税の暫定税率を廃止し、2.5兆円減税
  • 高速道路を原則無料化
  • 戸別所得補償制度で農山漁村を再生。畜産・酪農業、漁業に対しても所得補償制度を導入

【雇用・経済】

  • 中小企業の法人税率を18%から11%に引き下げ
  • 月額10万円の手当付き職業訓練制度により、求職者を支援
  • 失業後1年間、在職中と同程度の保険料負担で医療保険に加入
  • 製造現場への派遣を原則禁止し派遣労働者の雇用の安定を図る
  • 最低賃金を引き上げ(800円を想定)全国平均1000円目標
  • 二酸化炭素等排出量は2020年までに25%減
  • エネルギーの安定供給体制を確立

【消費者・人権】

  1. 消費者の権利を守り、安全を確保。危険情報公表法を制定
  2. 災害や犯罪から国民を守る。危機管理庁(仮称)設置
  3. 取り調べの可視化で冤罪を防止

【外交】

  1. 米国と自由貿易協定を締結▽日米地位協定改定の方向で臨む
  2. 通商、金融、エネルギー、環境対策の分野でアジア・太平洋地域の協力体制を確立

と、なります。

このマニフェストの作成当時の党首、幹事長であった鳩山、小沢両氏が「国民の生活第一」を考えて、優先的に実行されたものがあれば、ご教示下さい。

鳩山内閣時代の出来事で私の記憶に残っているのは、政策と陳情を全て取り仕切っていた小沢幹事長が官邸に乗り込んで、鳩山首相に「自動車関連諸税の暫定税率の廃止を取り辞め、2.5兆円の減税を中止させた」事と「埋蔵金やムダの廃止」だけでは、マニフェストで約束した公約を実行する財源はとても捻出不可能で、マニフェストの破綻が判明したと言う事くらいです。

鳩山さんは、政権交代の可能性を感じて興奮されたのか、ご丁寧にも鳩山政権の政権構想 として、5つの約束、5原則、5策を挙げて居られましたが、もう、お忘れでしょうね!