水平展開と平等主義から脱皮すべき日本製品のブランド戦略 --- 岡本 裕明

2012年08月06日 09:42

私は大量に持っているCDの再生のためにDVD再生機を使っています。CD再生機はいまや見つけるのが大変ですのでDVD再生機がその代用なのです。そのCDプレーヤー、過去5年で4台目を買いました。一台目がパナソニック、二台目、三台目が東芝、今のがソニー製です。初めの三台はいとも簡単に壊れました。

ちなみにそれらの価格は時がたつにつれて下がってきて遂にソニーのそれは日本円で4800円ぐらいだったと思います(ブルーレイではなく普通のDVDプレーヤーなどはいまや、買う人がいないのだろうと思います)。


そのソニー製、正直、買ってから失敗したと思いました。再生機にインジケーターが着いていないのでステータスが全然分からないのです。(普通はテレビに接続するので画面にさまざまな内容が映し出されるのでしょう。)反応速度も遅い上にボタンを押した感触も安物そのものです。

ある意味、ここまで製品の品質を落とされると日本の家電のイメージは完全に壊れてしまいます。今まで製品に対する信頼感で日本の商品を買っていましたが私も悩んでしまいます。

ブランドイメージはその企業の全てだと思っています。私が乗っているレクサスはブレンドイメージとして十分に引き出されていると思います。それはトヨタの大衆車に対する製品差別化で持つ人のプライドを壊さないということかと思います。

JALやANAがLCCと今後、激しい戦いを進めていくことになります。その中で例えばJALの沖縄線のファーストクラス導入や不評だったANAの有料コーヒーの無料化はLCCとの差別化という意味で極めて重要です。ドバイのエミレーツ航空の話を最近時々耳にする様になりました。それは圧倒的なサービスの水準。シャワーがあったりバーカウンターがある飛行機はその昔、JALが機内でスシ職人が握りずし提供していたときを髣髴させます。

日本が何故、最終消費財で世界市場を制覇できなかったか、という議論はこのブログでは書き切れないほどの理由が存在します。しかし、非常に冷徹な事を敢えて言えばそれは日本人が平等主義だったことが製品の差別化を遠ざけたかもしれません。

私が学生の時、当時のガールフレンドから「パリのルィヴィトンの本店で弁当箱型のバックを買ってきて」とせがまれたことがあります。いわゆるヴィトンブームの走りの頃でした。この話をパリかロンドンで誰かと話したとき、「ヴィトンをもつ人は山手線には乗らない。車しか乗らないようなそんな生活をする人のブランドだ。何故日本人はスーパーマーケットで買い物をする様にこのバッグを買うんだ?」と言われたことが鮮明な印象として残っています。

日本は「皆が持っているから私も持つ」という水平展開型のマーケティングに強みがあり、市場シェア主義が強く出ています。一方、LVMH(モエヘネシールィヴィトン社)は新たな客がいる国、都市に店を進出させる手法をとり続けてきました。結果として同社の企業イメージ、ブランドイメージは価格競争力という言葉は程遠く、持てる人だけのための製品をマーケティングの強みとしてきました。

オーディオの話ですが、私はデノン(デンオン)の結構良い値段のするレシーバーを持っています。これを買うとき、専門店の店員がデノンのこのクラスになれば右に出るレシーバーはない、と断言したから気持ちよく買うことが出来ました。

日本の最終消費財は価格競争に没頭した結果、メードインジャパンが世界である意味、中途半端な位置づけになりつつあることを日本の企業は分かっているのだろうかと感じることがしばしばです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年8月5日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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