お盆の最中、電気料金について試算してみた

古川 賢太郎

東京電力の値上げについて、反対の議論がある。生活者の視点から言えば値上げは嫌だし、値上げを避ける方法を考えてみたいので、今回の電気料金の値上げについて簡単に試算してみようと思う。

元記事


今回の原発停止によって、火力発電所を再稼働および増設したことで、燃料費の増加は日本全体で3兆円と言われている。そうすると、東京電力管内であれば1兆円というところだろうと思う。(もっと多くて4兆円だという話もある)これに対して東京電力の売上は年間5兆円となっている。つまり、売上に対して原価が20%も増加したことになり、このままで言えば20%の値上げは避けられないところだ。

いやいや・・。リストラをして燃料増を吸収して値上げしない様にしないといけないという主張がある。何より、こんな「原発事故」などを起こした東京電力の社員が高給をもらっているのはけしからんという話もある。東京電力の平均年収は761万円(平均年齢は40歳)、全国の給与所得者の平均年収が550万円だとして210万円の給与カットをする余地があると考えられる。東京電力の従業員数は3万6千人なので、210万円×3万6千人=756億円程度の原価圧縮が出来る。更に、福利厚生をカットして1,000億円を捻出し、その上従業員を2割解雇して550万円×7千人=385億円を捻出しよう。

1兆円ー給与カット756億円ー福利厚生カット1,000億円ー2割の人員削減385億円=7,859億円

7,859億円の原価増は5兆円の売上にたいして15.7%にあたる。つまり、電気料金の値上がりが8.5%程度ということは、どこかで7.2%分は吸収するということになる。実際には給与カットは労組との関係で、人員削減は広大な送電線ネットワークの保守の問題で、どこまで実現出来るか分からない。

今回の試算はあくまでも燃料費の増加分に対してのみである。実際には再稼働した火力発電所の運営費用や保守費用、新設した火力発電所の減価償却などは含んでいない。原子力発電所の廃炉費用などは、原発の運営積み立ての中から処理してもらうものとして、切り離して考えてみても、発電コストの大幅な増加は避けられないところだ。

日本の燃料調達コストは他国に比べて割高だという話もあるので、それが半値になったとして、今提示されている値上げが妥当な値段にやっとなるというところだと思う。さて、今年の夏は去年以上に電力会社の人は忙しいのだろうか?東京電力は平成9年に4万3千人だった従業員を3万6千人に16%削減している。このリストラには手間のかかる発電施設の停止などの効果もあるのだが、今回の火力発電所再稼働では人員削減などは出来ないのではないだろうか。

今、電気料金の値上げをしない方法は二つしかない。20%以上の節電をするか、原発を再稼働するか。命には代えられないのだから。 <=これは皮肉