テレビ帯ホワイトスペースの活用:連続セミナーから見えてきたもの

2012年08月15日 09:00

情報通信政策フォーラム(ICPF)では、テレビ帯ホワイトスペースの活用について4回連続してセミナーを開催してきた。テレビ帯ホワイトスペースとは、地上テレビ放送に割り当てられた40チャンネル分のうち、その地域で利用されていないチャンネルを指す。関東地方でもテレビ局はせいぜい10局だから、ホワイトスペースは想像以上に広い。しかも、その周波数は移動通信のいわゆるプラチナバンドに近い。

ホワイトスペースの活用はテレビ放送に乱れを与えないことが前提である。ホワイトスペースにも免許制度を導入し利用条件を細かく管理すれば、妨害の可能性は少ない。一方、誰もが電波を出せるような利用では妨害の恐れが高い。市町村規模の小さな放送局(エリア放送)は前者に、ホワイトスペースでのWiFi通信は後者に相当する。放送利用が技術的にもっとも容易で、通信事業者が固定無線に利用するのが次で、WiFiが最もむずかしい


エリア放送への利用については、第3回セミナーで吉井勇氏に講演いただいた。各地でエリアワンセグ放送の実験が進んでいるが、ビジネスとしての成功の見通しは立っていない。今の周波数をそのまま用いた無線LANの、アクセスポイントとコアネットワークの接続(集線系)用固定無線は米国で実用に供されている。光ファイバーで集線系を構築するのが経済的に合わない過疎地向けである。第1回セミナーで米国の動向を小池良次氏に話していただいた。WiFiに利用するという挑戦的な研究成果について、第4回セミナーで原田博司氏に講演いただいた。この回には松本徹三氏も加わって議論を深め、ネットからデバイスへの下り回線としての利用に焦点が当たった。

ホワイトスペース技術の標準化はIEEEで進められている。IEEEでの標準化プロセスや、標準化活動を企業利益に結び付ける長期的な戦略については、第2回セミナーで真野浩氏に話していただいた。ビジネスとして世界市場で利益を得るためには、標準化活動を上手に利用する必要がある。真野氏は日本企業のIEEEへの参加が少ないことを問題視していた。原田氏も、アメリカ企業が世界展開を始めているのに対して、日本企業の対応は遅いと危惧を表明した。

連続セミナーから見えてきたのは、依然としてガラパゴスに閉じこもる日本の姿である。エリアワンセグがその典型で、世界展開の可能性はまったくない。電波産業が存在感を回復するために、日本企業には通信利用のような新技術にもっと積極的に取り組んで欲しい。

山田肇 -東洋大学経済学部-

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