日本の最大の領土問題は「北方領土」であることを忘れてはいけない

2012年08月20日 12:18

尖閣に上陸した香港の活動家が強制送還されたことに対して、公務執行妨害で裁判にかけなければ日本は法治国家とはいえないと反発している人がいます。石原都知事は不快感を表明し、また悔しいとして尖閣に上陸した国会議員や地方議員がいました。気持ちはわからないでもないのですが、しかし彼らの発言や行動には軽さを感じます。なにか今後への展望があるのでしょうか。強制送還か、裁判なのか、どちらのほうがよかったのかを、中国の活動家たちの立場から考えてみましょう。彼らにとってはいずれが都合がよかったのかです。あきらかだと思います。


勾留され、裁判に持ち込まれるほうがよかったのです。強制送還では小さな成功に過ぎません。彼らはシーシェパードと似ています。事態がエスカレートすればするほど、騒ぎが大きくなればなるほど利益的です。

勾留され裁判を受け、釈放後に香港に戻れば立派な英雄になれます。彼らにすれば、日本でVIP待遇で勾留されたり、公務執行妨害程度の罪で裁判を受けることなどたいしたことではありません。その後の見返りの大きさに比べればどうということはないのです。

中国政府は、今回は大陸からの尖閣にむかう船舶を止めたということですが、おそらく権力交代を間近に控えた微妙な時機に、しかも経済成長が鈍化しはじめたタイミングで、いつ反日運動から内政への不満に変わり、国内の火種となりかねない動きを政府が炊きつけるとは思えません。

しかも、今回の事件で、さらに実効支配を強める海上保安庁の権限や装備、また体制強化の国内でのコンセンサスが得られそうなことは日本にとってはよかったのではないでしょうか。もっとスマートな実効支配としては、そういった海上保安庁の強化と並行して、いっそ海洋資源研究の拠点施設でもつくって、中国を含めた近隣諸国の研究者も呼べばどうかとも思います。要は実効支配を継続する知恵が求められているのです。

さて、今回の尖閣に上陸した「日本の領土を守るため行動する議員連盟」の行動ですが、「木走まさみず」さんの、騒ぐ島を間違えているというご指摘が的確です。

日本の領土が安全に守られているところで何で「日本の領土を守るため行動する」パフォーマンスするのか、決死の行動をするというのなら竹島と北方領土のほうだとされていますが、共感します。過激な内容かもしれませんが引用しておきます。

2班に別れて山谷えり子会長率いる第一班はただちに竹島近傍に船を出し、沖合い500mから遠泳で竹島上陸を目指してください。

そして田母神俊雄・元航空幕僚長率いる第二班は北方領土に船を出し、やはり沖合い500mから遠泳で北方領土上陸を目指してください。

竹島も北方領土も近づくことすら容易ではないでしょう。

逮捕者も出るでしょう、特に北方領土には領海を越える時点で船は拿捕、あるいは最悪の場合機銃掃射を浴びせられ死者が出るかも知れません。

何、竹島も北方領土もすでに実効支配されている、あなた方がどんな行動に出ても日本は失うものはないのです。

それどころかそこに国際的な「領土問題」が存在することを、あなたがたの犠牲のうえに広く世界に知らしめることができるでしょう。

祖国のため人柱になる、これぞ「憂国の士」であります。

さて実行支配されてしまっている竹島と北方領土の問題で、どちらのほうが日本の主権にとっては重要度が高いのでしょうか。北方領土だと思います。なぜなら、北方領土は実際に日本人が生計を立て生活していたれっきとした領土でした。それをスターリン率いるソ連が略奪したのです。
しかもソ連軍の侵攻が始まったのは終戦の玉音放送の後です。しかも島からの引き揚げ船が、ソ連の潜水艦の魚雷攻撃によって沈められた疑いもあります。多くの一般人の犠牲者がでました。ソ連の侵攻は、道義的にも人道的にも許されないことです。

映画『樺太1945年夏 氷雪の門』は、ソ連軍の樺太侵攻で、最後まで電話交換を続けた真岡郵便電信局の女性電話交換手9人の最期を描いている作品です。1974年に公開されましたが、ソ連からのクレームで配給を行なっていた東宝が劇場での上映を中止してしまったのです。

樺太1945年夏 氷雪の門 – Wikipedia :
今ではレンタル店によってはこの作品を借りることもできると思います。ぜひ見ていただきたい映画です。領土を奪われることがどういうことなのかを教えてくれます。

ロシアが北方領土を占拠していることは、スターリンを認めることにもつながり、本来はロシアにとって国際世論から見ても芳しくないことですが、日本からのアピールが弱すぎ占拠が続いています。また現実的な解決策であった歯舞、色丹の2島の返還をまずは進めようという鈴木宗男氏や外務省幹部の東郷和彦氏の動きを、強硬な4島一括返還の強硬な主張で潰してしまった経緯もあります。

ロシアの政府要人があたりまえのように北方領土を訪れ、またつい最近も、ロシアの第2次大戦記念行事で、8月25日~9月17日に国後、択捉に揚陸艦派遣すると伝えられています。不法占拠を正当化する動きが目立ちます。

「日本の領土を守るため行動する議員連盟」の人たちは、まずは、いかに日本が理不尽な仕打ちをソ連から受けたか、また不法占拠であることを世界に知らせる運動でもおやりになれば支持も広がるのではないでしょうか。
資金を集め、『樺太1945年夏 氷雪の門』の放映権でも買い取って、ロシア語、韓国語、中国語、英語で字幕をつけてyoutubeに流せばいいのです。それだけでも見る人が中国や韓国、またロシアはもちろんその他の世界中にも広がっていくものと思います。

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大西 宏
株式会社ビジネスラボ代表

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