少子化を逆手にとった人材開国を

2012年08月28日 12:58

今春、4年制大学を卒業した学生約56万人のうち、6%に当たる約3万3000人が進学も就職の準備もしていない「ニート」だったことが27日、文部科学省の学校基本調査の速報で分かった。就職率は63.9%で前年比2.3ポイント改善したが、3.9%の約2万2000人が非正規雇用だった。

20120827ax02b

というニュース があった(グラフは記事から転載)。 これは確かに問題ではあるが、少子化と大学定員増による大学の大衆化が引き起こす、必然的な現象であるとも言える。

ここでは、少子化を逆手にとって、日本が発展する可能性について考えたい。


大学の著しい大衆化

大学入学定員は平成4年の47万人から平成23年度58万人に2割増加する一方で、18歳人口は、205万人から、120万人に4割減少している。この20年で大学生の価値は半分以下になっている。もう少し長いスパンで見ても、ここ30年で大学進学率は2倍以上になっている。 

3929

社会実情データ図録から転載(ここでは大学は短大、一部の専門学校を含む)

国際比較をすると、ドイツは24%前後で変わっていないし、アメリカも40%前後と変わっていないのに対して、フランス(17.4-40.7%) イタリア(9.8-19.9%)、イギリス(27.2-38.4%)が伸びているのが目につくが、日本は韓国と共に突出して大学の大衆化が進んでいる。

また日本の大学は退学率が10%前後と低く(OECD平均31%、イタリアでは60%以上)入学した生徒は大半が卒業する。 これでは、大学生の質を維持することは、極めて難しい。大学という概念自体が変わったといってもよい。

さらに大学院重点化により、大学院の定員は大幅に増えた。これにより、大学院の進学率は1985年の7%から2005年の14%に2倍に増えた。 これは少子化とも相俟って、大学院生の質を4倍以上に薄めたことになる。 

大学や大学院を大衆化し、高等教育を受けさせれば、優秀な人材を増やせるというのは、実際に教育現場にいる私の実感として、全くの誤りである。

ピンチをチャンスに変えるには

このように、人材難に陥っている日本であるが、一方、お隣、韓国について、最近、次のようなニュースがあった。

韓国の人口、5000万人突破 少子化を外国人労働者流入が補う
2012.6.23 19:14 [韓国]
【ソウル=加藤達也】韓国の人口(推計値)が23日、5000万人を突破した。日本を上回る速度で少子高齢化が進行しているが、外国人移住者の流入増大が影響したとみられる。

 韓国統計庁によると、人口は外国人労働者も含め3カ月以上の滞在者を基準に集計。外国人の労働者と、結婚による移住者は、2006年から10年までの5年間で28万3000人増加したと推計している。

(産経新聞)

これは非常に興味深い。少子高齢化に悩むのは韓国も同じであるが、海外からの移民の流入で補っているわけだ。 

日本は、これから少子化のために、著しい人材難になる。労働が二極化する現状では、高度なスキルをもった人材の質と量が国力を決める。 高度な資質をもった人材を少子化を補うように移入できれば、日本全体としては、レベルアップが図れる。 少子化は、こうしたレベルアップの伸びしろを広げてくれる。少子化を強みにできるのだ。

具体的には、海外から優秀な人材を移入できるような税制の整備、例えば、法人税の引き下げで海外からの投資を呼び込むことや、海外から移入した人材への減税など人材開国を進めることが日本経済を活性化することになるだろう。 

「日本人の職がないときに、海外から人材を移入するなど、とんでもない」といった声を耳にするが、グローバル人材を活用することなしに、日本人だけで、世界と競争しても勝てるはずがない。

グーグルやアップルを見習うべきだ、というのなら、人材開国をしなくては、画に描いた餅だ。 

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑