8月月例経済報告を考える

2012年08月28日 14:50

朝日新聞の伝える所では、景気判断を10カ月ぶり下方修正 8月の月例経済報告との事である。

政府は28日に公表した8月の月例経済報告で、国内景気の基調判断に「このところ一部に弱い動きがみられる」との表現を加え、10カ月ぶりに下方修正した。欧州を中心に海外経済が低迷して日本からの輸出がふるわず、製造業の生産が鈍っていることを踏まえた。


月例経済報告を実際に読んで感じるのは下記二点である。

何と言っても外需が弱い。

東北震災に伴う復興の為の補正予算が執行され、これが景気の下支えになっている。

先ず、弱い外需であるが、直接の原因は欧州債務危機発の世界同時不況である。以前は、経済の成熟した欧米に取って代って中国と中国に雁行する新興産業国、並びに成長著しいインドが世界の成長のエンジンになるとのまことしやかな「シナリオ」があったが、実は真っ赤な嘘であった様である。

欧州向け輸出が振るわず、世界の成長エンジンになる所か、真っ先に自国経済を失速させている。

結果、国内に眼を転じれば財務省の7月貿易統計を見ても、欧州向け輸出は激減、アジア向けは弱含みである。

欧州の債務危機がこれから短期間に解決するとはとても思えない。結果、日本の輸出は減り続ける事になる。一方、景気を下支えしている補正予算は、飽く迄震災に伴うイレギュラーな処置であり、何れは東北地方は自律回復を迫られる事になる。

どう考えても景気の先行きは厳しい。結果、企業破綻が増え、失業者が増える事になる。放置すれば、法人税、所得税と言った税収が落ち込み、一方、生活保護手当等の社会保障費は膨張する。どうも消費増税分等はこれに食われてしまうのではとの悪い予感がする。

一方、輸出は減少するが輸入は横ばいなので貿易赤字は拡大する事になる。移転収支の黒字は堅調なので経常収支段階での赤字は流石にないと思うが、無規律な貿易赤字拡大は好ましくない。

8月月例経済報告を読んでの感想はざっとこんな所である。さて、どう対処するかである。

第一に、政府の債務問題をこれ以上重篤化させない為には高齢者を対象とする社会保障費に大鉈を振るう必要があると思う。今や決断する時期なのだ。

今一つは輸入金額の圧縮である。停止中の原発を再稼働すれば石油、天然ガスと言った化石燃料の輸入が削減出来、年間にして3~4兆円の効果となる。これも手遅れと成る前に決断すべきと思う。

8月月例経済報告の示唆する所は大きく、野田政権は真面目に読んで真摯に対応すべきである

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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