JALは社会にとって本当に必要な企業になれるか --- 岡本 裕明

2012年09月07日 07:00

本件、このブログで7月18日に私の考えを書かせていただきました。その後、役人を含め、何人かの方と、意見交換もさせていただきました。当時から上場に反対する声も多く、その再上場を拒むという強硬な意見もありましたが、そんなことができるはずもなく、9月19日に予定通り再上場します。再上場を果たした企業は珍しくありませんがJALほどの規模となると別で、ある意味歴史に残ることになるかと思います。では、JAL再上場は賛成かといえば私の考えに変わりはなく、よろしいのではないかと思っております。


反対意見の主流は本来潰れる会社を公的資金を使い、救ってもらい、高収益会社に変貌した上に上場までしてライバルの全日空を上回る規模になるのは許せない、という事だと思います。再上場するならもっと時間が経ってからでもよいではないか、例えば、税金を払えるようになってから、といった意見もありました。

まず、公的資金の面からすれば早期に回収するに越したことはないのです。資本主義なら当たり前の考え方です。仮に社会的貢献を十分に行い、ライバルとの力関係が「こなれてから」というならばそれは社会主義的発想そのものになってしまいます。国は今回の公的資金投入に対して相当儲けることになります。多分、3500億円の投入に対して3000億円近く儲かるのではないかと思います。

これを儲けすぎ、という人は多いでしょう。ですが、リスクマネーを投じたときのリターンは倍程度は驚く数字ではないということを知っていただきたいのです。まさか、5%のリターンの為に再生するかどうか分からないJALに資金を投じる人は世界中どこにもいないのです。昔、ハゲタカという言葉が流行りましたが、あれは流行ではなく、その世界では当然であるという事実であって、好き嫌いの話ではないということです。

次にこの公的資金が滞るような事態、つまりJALが思惑通り再生できなかったとすれば今後、同様の事態が生じたときに公的資金投入に関して非常にネガティブな意見が出されてしまうのです。つまり、今回の資金投入成功は日本再生という使命の一端を担うべく成功しなくてはいけないプランだったという事になります。

では資金投入の意義ではなく、航空業界そのものに不平等が生じるか、という点については私はアメリカの自動車産業、GMとフォードについてみたらよいかと思います。公的資金を投入してもらったGM、自力で頑張ったフォード。今見るとGMは再上場の株価だった33ドル程度をを大きく下回る21ドル近辺です。力関係からは両社の水準は大きく変化してないと見られます。つまり、公的資金を投入してもらった企業が必ずしも有利だということにはならないのです。

ましてや日本の航空業界はLCCの本格的参入で大きな構造変革が起きるとみています。一部の国ではLCCが5割を占めるまで成長していることを考えれば日本でも今後、相当の伸びは期待できると思います。しかし、安ければよいという人ばかりではない、ということを忘れてはいけません。東京にはビジネスホテルや格安ホテルもありますが超高級ホテルも林立しています。それぞれ需要があってビジネスは成り立っています。よって伸ばせる範囲を伸ばし、磨きをかける分野に磨きをかけるようにすればよいでしょう。

例えば成田空港の空港使用料が世界最高水準なのでLCCが育たない原因だとする記事がありましたが、それなら茨城空港を使うという発想に転換すればよいだけです。文句を言うのではなく、うまく生きる道を探すことがもっと大事ではないでしょうか?

JALの社会的貢献については今後、様々な形で出てくると思います。お客様あっての航空会社ですから今回の手厚い支援に応えるべく案は必ず出てくると思います。それならばJALの再上場は拍手でもって称えるのが素直さというものではないでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年9月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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