成長の限界ー拡大主義の終焉

2012年09月11日 08:33

1972年に発表されたローマクラブによる研究「成長の限界」は、制御理論によるコンピュータシミュレーションを用いて、2030年前後に世界人口減少が始まり、世界は急速に崩壊に向かう、という衝撃的な予測を行ったものである。 

「成長の限界」はA Comparison of the Limits to Growth with Thirty Years of Realityという論文で検証されている。この論文によれば、ローマクラブのシミュレーションと現実の軌道は、かなりの程度一致しており、持続可能モデルとは乖離しているということである。 実際、予測は、極めて正確である:
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(Looking Back on the Limits of Growth(「成長の限界」の検証)より転載)


「成長の限界」の読み方

「成長の限界」の最大の貢献は、地球の有限性を初めて数値的に認識したことにあり、そのエッセンスは予測というより、

「常に有限性を意識して、成長をコントロールすることが、最適化につながる」

という哲学である。 

未来まで込めた最適化と、現時点のみを見つめた最適化には大きな齟齬があり得るということだ。

有限性は顕在化しているか? 

実際に世界経済が今後も成長を続けられるのか? という点に関しては、悲観的にならざるを得ない。 実際に以下のような障害が顕在化している:

(1) 石油生産の限界(ピークオイルを既に迎えた)
(2) 食糧生産の限界(ここ10年ほどは穀物生産がほとんど伸びていない)
(3) 気候変動の顕在化 

現在、起きていることを、簡単に検証すれば、グローバル化で新興国が台頭し、有限な資源の奪い合いが起きているため、一次産品の価格が高騰し、人口増加率が鈍化した(あるいはマイナスの)先進国経済の衰退を招いたということである。

先進国は衰退を防ぐために、金融資本主義を膨張させ、ヴァーチャルな世界を拡大して、実体経済から金を巻き上げることで、先進国経済を復活させようとしたが、必然的にバブルを引き起こし、それが破裂して現在がある。結局、too big to fail を用いて、一部の金融セクターが、マジョリティから金を巻き上げることで、富裕層が生活水準を維持する一方で、マジョリティは大きく貧しくなり、トップ1%対残りの99%という対決の構図を浮かび上がらせている。

現在の世界の姿を一言で言い表すならば、「行き過ぎた繁栄」ということではないか、と私には思われる。つまり、地球の有限性を無視して、成長の抑制(未来まで込めた最適化)に失敗したために、大きな揺り戻し(衰退)の縁に立っているということだろう(経済学は最適化理論だが、地球規模の問題以前に、バブルの生成をコントロールすることにすら、有効な対策を打ち出せていない)。

これは、「成長の限界」の描いた世界と極めて近いといえよう。

そろそろ、我々は拡大主義的な、ものの考え方を転換し、持続可能な世界を目指す必要があるだろう。 

補遺

ロンボルグの

資源と環境は本当に脅かされているのか ―― 環境・資源保護か、経済成長か

のように資源の有限性や環境破壊は大きな問題ではない、あるいは金融緩和によるデフレ脱却による高成長:

消費税増税に大義も効果もなし 

といった議論もあるが、私には賛同し難い。

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