政治と経済の関係を改めて眺める --- 岡本 裕明

2012年10月07日 06:30

恒例のアメリカ雇用統計。ネット増は11万4000人。ほぼ予想の範囲内というより10万人を越えてきていることで、まずは安心感が出たようです。むしろ、私のサプライズは8月の結果を速報のネット9万6000人増から14万2000人に修正したということでしょうか? この増幅幅は47%にもなり、統計の信頼度は大きく揺らいだともいえます。


仮に8月の速報値で14万人台としていたならばQE3がなかったこともありえるのです。ご記憶にあるかと思いますが、FOMCは9月の定例理事会で更なる金融緩和を進めるかどうかを決定することになっていましたが、その尺度として注目されていたのが9月上旬に発表された雇用統計でした。私はネット15万人増が金融緩和決定の一つのラインと書かせていただきましたが、一部の専門家は12万人や10万人などが判断基準となるとしていました。

よって、極論すれば速報値の大幅な見直しはアメリカの金融政策決定に重大な影響を及ぼしたかもしれないということになります。バーナンキ議長のコメントを聞いてみたいものです。

もう一つ、雇用統計に伴い発表される失業率。これについても私は春頃にこのブログでオバマ大統領が再選されるかどうかは失業率が8%を切るかどうかが節目、とさせていただきました。本日の発表で失業率は遂に7.8%と0.3%ポイント下がりました。テクニカルには労働参加率が反映されますし、今回はhousehold Employmentの増大というある意味技術的要因ですからあまり過信してはいけないのですが、分かりやすい指標として一般的に使われやすいと思います。

個人的にはこの失業率の低下はオバマ対ロムニーの大統領選挙にオバマ大統領への強烈なフォローの風となるとみています。大統領選の事は日を改めて書かせていただきますが、テレビ討論会ではロムニー氏の巻き返しといわれていますが、形勢を逆転するのは難しいのではないかと思います。繰り返しますが、世界景気が低迷しているときは中道左派が有利になるのが鉄則です。それは一般庶民と中小企業への手厚い対策が取られる政策であるからです。

ところで話は変わりますが、昨日日銀も政策決定会合を開きましたが、私の驚きは前原経済財政大臣が出席し、強力な金融緩和、外債購入を意見した、ということです。日本では中銀と政府側との交流はあるようですが、アメリカを含め諸外国では中央銀行は政府や財務省とは独立した立場を取る、というのが通例であります。つまり、中央銀行は政府の政策に影響されず、正しい金融政策を打ち出す義務があります。

ところが前原大臣が強力に財務省の意見を出してしまってはその独立性は完全に失われているといえます。つまり、日本は中央銀行と財務省は一体であり、且、強大な財務省の影響下にある、と言っても良いかと思います。これでは日銀はやりたいような政策を採りにくくなるでしょう。日銀の政策云々とよく言われますが、まずは財務省との関係を薄くすべきです。ましてや前原大臣が積極的に関与すべきではない事であります。これでは前原氏はそのうちまた汚点をつけることになるかもしれません。

最後に中国。国慶節で1週間の休みが明けます。共産党大会は11月8日と遂に決定しました。相当内部で揉めたと見るべきです。それはある意味、派閥同士の対立がより鮮明になり一枚岩にならなくなっている可能性があります。これは長期的にネガティブになりますので注目すべき点かと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょうか?


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年10月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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