アップルは守勢から攻勢へ転じることができるか --- 岡本 裕明

2012年11月12日 10:00

アップル社の株価の下げが止まりません。金曜日の終値で547ドルですが、9月下旬につけた705ドルから比べれば明らかに強い下げ基調になっています。

アップル社の株式は多くの投資信託や機関投資家が組み込んでいるとされ、同社の株式が下落基調に転じれば利益確定売りが膨れ上がり、更なる下げを演じやすくなることもありえます。一方で一株当たり利益は44ドル強ありますからPERでは12倍強、配当も2%ありますから今の株価が必ずしも悪いとはいえないと思います。しかし、理論上の価格通りにならないのが株式市場。そして、アップルがここまで買われた理由をもう一度考えてみれば個人的には今のアップルは全盛期のマイクロソフトより厳しいと見ています。


アップル社の屋台骨を支えたのはスティーブ・ジョブズのカリスマ性とそれを支える熱狂的ファン、更にはメディアとフォロワーとなった大衆でした。もともとアップルはマニアックな会社でジョブズのテイストが強烈な個性となっていた企業であります。幸か不幸か、iPod, iPhone, iPadと立て続けにヒットを飛ばし、ジョブズの絶頂期を迎え、その最中に亡くなってしまったのです。これが私にはアップルの最大の不幸であると直感しておりました。

彼が亡くなった後も2、3年分のビジネスのレールはセットされているといわれていました。完璧主義者のジョブズなら当然ありえたでしょう。しかし、ジョブズがあれだけ嫌いだった7インチサイズのタブレットを売り出さなくてはいけなかったのは市場を引っ張るスタイルから市場に引っ張られる経営に変わった何者でもありません。

勿論、今後、さまざまな反攻に出るとは思いますが、アップル包囲網は厚く、そこを打ち破るのは容易ではありません。以前にも書いたと思いますが、アップルはもはや守勢の経営であり、夢を与えてくれた過去とは違います。勿論アップルのおかげでサムソンが成長し、タブレット型コンピューターが世を席巻しました。しかしこの路線はこの数年変わっていません。そして噂のあった新しいアップルTVはいつまでたっても登場しません。

人々の浮ついた心も必ず、どこかでガクッと崩れる時があります。アップルの怖さは今そのベクトルにあるように見えることです。勿論、突然商品が売れなくなるようなことはありません。一定水準のシェアとさすがアップルといわせる見せ所は今後も継続されるでしょう。しかし、ジョブズ亡きアップルはイメージの再建をするのに数年はかかるのかもしれません。その間、アップルの市場シェアを維持できるかどうかが今後の大きな課題となるのではないでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年11月7日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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