いよいよネット選挙解禁で日本の民主主義はどこまで進化できるか

2012年12月27日 17:14

昨日、首班指名が行われ、安部晋三第96代内閣総理大臣が誕生した。
安部晋三新首相は、あらためて記者会見でインターネット選挙を来夏の参院選までに解禁すべきとの考えを示した。自民党はマニフェストにも「インターネット利用選挙解禁法案を制定する」としており、年明けの通常国会で法整備をめざすことになるという。そこで今回は、ネット選挙解禁が現実的になってきた中で、これによってこの国の民主主義がどう変わってくるのかを考えてみたい。

インターネット選挙の解禁をきっかけに、その先に2つの事を期待したい。
1つは、Government2.0などと言われる新しい民主主義システムの構築であり、もう1つは、選挙権年齢の引き下げ等さらに民主主義の裾野を広げる公職選挙法の改正である。


Government2.0とは、アメリカなどで進んでいるソーシャルメディアやWeb2.0を政府が積極的に活用し、政府と政治の透明性の向上や国民の政治参加、またPPP(Public Private Partnership )と言われる官民連携や新しい公共と言われるNPOなど非営利セクターまでもを巻き込んだ取り組みを促進させようという考え方だ。

今年話題になった「LINE」の公式アカウントを首相官邸で取得した事は記憶に新しく、先日の北朝鮮のミサイル騒動の際にもこの「LINE」や「Twitter」を活用して首相官邸はリアルタイムで情報を出した。しかし、こうした一連のSNS活用は、単なる情報発信でしかない。今後はさらに双方向性やビックデータの活用へとその活用が広げていくことを期待する。

先日行われた総選挙では、投票率が59.32%と過去最低となった。
民主主義の根幹が議会制民主主義であることは変わらないとしても、政策形成や政策決定の過程の中で、民主主義を補完する仕組みとして、ソーシャルメディアを活用しての国民の集合知の活用や、国民の無意識を含めた意識を反映させる仕組みとしてのビックデータの活用など政策マーケティングの必要性を強く感じる。

これからの公共のあるべき姿やこの国の民主主義の質を高めていくことを考えれば、どう政治や行政の現場に国民を巻き込んでいくかが非常に重要と言える。

2002年に、テロの被害を受けたワールド・トレード・センター跡地周辺をどのように再開発していくかについての対話がニューヨークで行われた。このタウンミーティングには、4,300人を超える多くの市民が参加し、対話の結果は、当時のニューヨーク州知事に提言され、再開発計画に大きな影響を与えたと言われる。
こうした21世紀型といわれるタウンミーティングは、カフェのような雰囲気で対話を行われるワールドカフェをはじめ、ステークホルダー(利益関係者)などが集まって課題やめざしたい未来について話し合うホールシステムアプローチという会話の手法が用いられ、人種・性別・年齢・職業などのバランスを地域の縮図とし、こうしたプロセスを政策に反映させている。
こうした手法は、国内の自治体で活用される例も出てきています。
北欧などで行われているフューチャーセンターなどもそうだが、市民参画の受け皿となる場づくりや、それを進めるファシリテーターの養成も含め、市民が参画する環境を整備していくことが重要になる。
中でもシルバー・デモクラシーといわれる状況の中で、若者の声を反映していくことは非常に重要な要素であり、こうしたリアルな仕組みを創っていくことはもちろん、同時にそれを補完する仕組みとして、SNS等を活用した集合知や無意識を含めたビックデータによる政策マーケティングなどの仕組みを創ることが重要である。
こうした新しい民主主義や自治、参画の仕組みの構築については、現場を持つ地方自治現場でこそ、さらに可能性を感じる。震災以降Twitter、Facebookなど、自治体のSNS活用は少しずつ進んできたが、こうした広報ツールとしての利用から、さらに「地方自治2.0」へと、Government2.0の取り組みを進めて行く必要がある。実際に実現するには、法的な対応なども必要であり、自治体での試験的、先行的な取り組みができるようにする環境整備も含め、夏までに行われるネット選挙解禁を単に選挙中の候補者の選挙活動へのインターネット活用の解禁に留めず、これをきっかけにGovernment2.0にまで、一気に拡大してもらいたい。

2つ目の期待が、選挙権年齢の引き下げをはじめとした、さらに民主主義の裾野を広げるさらなる公職選挙法の改正である。

安部新首相は先の会見のインターネット選挙解禁の説明の中で、こうした取り組みが投票率の上昇にもつながるとの考えも示したという。こうしたことから考えれば、とくに投票率の低かった若年投票率をどう引き上げるか、また、どう若者の声を引き上げるかについても考えてもらいたいと思う。

日本国憲法の改正手続きに関する法律(国民投票法)では、附則3条に、施行日である2010年5月18日までに選挙権年齢を18歳に引き下げるために必要な法制上の措置をとることとしている。しかし現状では違法状態のまま放置され、今回の総選挙もそのまま行われた。
この国民投票は自公提案による議員立法であり、成立した2007年当時は第1次安部政権であった。これまでも多くの政党が選挙公約に掲げながら、この選挙権年齢の引き下げが一番現実に近づいたのがこの時であり、第1次安部政権の際には、若者の参画や政策人材の流動化の視点から「官邸フェローシップ」の創設も検討されたと聞く。「世代間格差」という言葉がようやく認識されるようになってきたが、こうした議論がなされる場に当事者である若者の声が反映される仕組みが構築されること、シティズンシップや政治教育なども含め、この国の民主主義の質が高まる仕組みが構築されることを期待したい。

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