民主党政治の総括と自民党政治の未来 --- 岡本 裕明

2012年12月30日 07:00

自民党政権が発足し、安倍首相を初め各大臣は今まで以上にやる気を出して政治に燃えているようです。その動きはまるでオセロゲームで黒と白の石を逆転させるようにさえ見えます。

もともと自民党と民主党は中道右派と中道左派でありそんなにかけ離れているわけではなく政策によっては共闘してきました。例えば消費税増税はその典型でした。もっとも、消費税引き上げに関しては自民党が民主党にその役目を負わせて政権交代を実現させたという党利党略がうまく運んだ、と私は思っています。自民党も財政難に対して国民に広く負担を求めることが出来る消費税は対策としてはもっとも公平性が高いことは論理的でありサポートしたかったはずです。野田、谷垣両氏とも財務省とのラインが強いバックグラウンドあることから正論だったのだろうと思います。一方で過去の消費税導入ないし、引き上げで自民党は苦い思いをしてきたことから民主党にうまくその役を押し付けたとも言えるでしょう。


では、オセロゲームに関していうならばまず、原発について大きな変化がありそうです。茂木経済産業相の原発ゼロ再検討は明らかに民主党のポリシーをいったん封印して一から考え直す、という風に聞こえます。震災、原発問題に直面した菅、枝野両氏の東京電力に対する強い拒否感から個人感情ともいえる状況でその怨嗟の声は東京電力の内部では大きなものだったと聞いております。

だからといって自民党が東電や原発に味方するという短絡的な見方はしませんが、少なくとも現実路線には戻すのだろうと推測しております。事実、一定時間をかけてエネルギー供給方法を見直し、原発に関してはそのリサイクルと処理問題なども含めて検討しなおすのは当然であり、「嫌いだから止める」という後戻りは簡単ではないということを含んでいるのだろうと思います。

ただし、アメリカでは一部の声としてアメリカ国内の原発新設に黄色信号がともっています。理由はシェールガス革命で燃料費が安くなったことから原発のコストの方が高くなる状態が生じているからです。よって、日本でも4,5年後にLNGが北米やロシアから輸入され、その価格が現在より大幅に下がるようなことになれば原発からの撤退は現実的なプランとして浮かび上がってくる可能性はあるでしょう。

為替に関してもその対応のとり方に大きな変化があります。民主党時代は為替介入を通じて多額の資金を投じ、結局打ち上げ花火に終わっていますが、安倍政権は今のところ、コストゼロで1割以上の円安を演じています。ですが、安倍首相を初め、閣僚、要職につく者が為替目標を口に出しているのはいかがかと思います。既にその目標値にはほぼ到達しており、今後どういう展開にしたいのか、実に不思議な気がしております。

外交は民主党の弱点のひとつだったと思います。鳩山氏が小沢氏の傀儡となり中国、韓国寄りでアメリカからそっぽを向かれ、菅氏はその修復を図るものの震災でそれどころではなく、野田氏は尖閣を通じて中国との関係をすっかりこじらせました。中国大使に丹羽宇一郎氏を民間から起用したことで外務省がそっぽを向いたことがしょっぱなのつまずきでした。

結局民主党はなんだったかといえば出来もしないマニフェストを並べて現実離れした夢物語を語り続け、実務の世界に行けば八ッ場ダムをめぐる前原劇場からスタートしたわけです。

今回の内閣の顔ぶれを見る限り層が厚い、というのが実感です。特に副首相権財務大臣に麻生太郎元総理を持ってきましたが、過去総理経験があって財務大臣をするのは私の記憶が正しければ高橋是清と宮澤喜一両名しかなかったと思います。

結局このオセロゲームはほとんど自民色に染まることになるのですが、その違いは何かといえば私は圧倒的な組織力と官僚との太いパイプということにまとまるのではないかと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年12月29日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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