2013年を見る その1 世界はどうなる --- 岡本 裕明

アゴラ

安倍首相の年頭所感。経済再生、デフレ脱却、震災復興に外交建て直しと心地よい言葉が並びます。そして少なくともこの一ヶ月、国民はその言葉に踊り、期待し、盛り上がりました。考えてみれば民主党政権ができた時も同じだったのですがそんなことはもはや皆すっかり忘れてしまい、自民と民主を比較してやっぱり、自民がいいとすれば相変わらずの恋愛ゲームで変われないいつもの日本の姿なのかもしれません。


他方、日経新聞の1月1日号の特集。それは「2013年、殻を破れ 新しい舞台を見つけた日本人たち」。私はこちらの方が首相の年頭所感より的を得ている気がしています。

なぜ、民主党がだめで自民党に票が流れたか、その本質は国民が政治に期待ばかりで国民そのものが何も変われなかったという風に捉えてみればどうでしょうか? 政治は政治屋に任せるのが日本の歴史でした。国民はそれに従うしかないと固定概念を持ち続けていないでしょうか? 政治は国民がドライブするものである、とすれば政治に対する見方や姿勢も当然変わってきます。

自民党時代を迎え、確かに明るさは期待できるでしょう。しかし、国民生活が本当に希望ある未来を描けるかは日経新聞にあるようにわれわれ一人一人が殻を破ることが必要なのだと思います。

例えば日本人はなぜ、外国人を受け入れないのか、と考えたとき、先入観が先立ち、彼らに心を開かないとすれば日本はいつまでも島国のガラパゴスで自己満足に浸る世界の異端児であり続けることになります。今の中高年はそれでもよいでしょうけれどこれからの日本を背負う若者にはそれではあまりにも夢がなさ過ぎます。偏屈でありすぎます。

年金。なぜ、若者は高齢者のために払い続け、自分たちは今の仕組みのままではほぼ十分なお金をもらえないのでしょうか?政府はそれでも年金を払ってくださいといい続けますが、払った分がもらえるかどうか不安なものに払いたくなる人はいません。今後、更に年金の料率はあがり、サラリーマンは悲鳴を上げるでしょう。

中小企業金融円滑化法は3月で切れますが、実質それを延長する動きがあるようです。実質とは時限立法の延長はしないけれど金融機関にその判断を任せるということのようです。私は多少のインパクトは覚悟しなければならないと思っています。もうひとつ日本の悪い癖として補助金行政があります。そして今になってエコポイントは間違いではなかったか、という声も出てきました。

日本は弱い者に対して更に弱くさせる優しさを見せます。弱いものこそ、強くせねばならないのに奇妙な優しさの愛の手を差し伸べることで逆効果を生み出しています。これは日本の歴史で繰り返してきたことです。「厳しい優しさ」が日本には必要でしょう。これは日本人がワールドスタンダードと違うと感じる重要な部分だと思っています。

20年にも及ぶ低成長時代は日本がその立ち位置を大きく変えない限り今後も似たようなものだろうと思います。企業は成長できます。しかし、国内に残った国民は企業とは一心同体ではないということに気がつくべきです。企業の株主は外国人かもしれないし、その従業員も外国での採用が主流かもしれないのです。日本企業の景気のよさと日本国内はそれこそ、デカップリングする気配すら見えてきます。

日本人が殻を破るという挑戦は今こそ、必要なのだろうと思います。

2013年は少なくとも自民党に引っ張られる形で助走期間は大丈夫だろうと思います。しかし、そこからテイクオフできるかどうかは一人ひとりの自覚次第ということになりそうです。努力するものが報われる、そんな年が始まる予感がしております。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年1月2日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。