遅ればせながら衆院選結果に思うこと、夢見ること

2013年01月03日 05:26

昨年12月16日の衆院選の模様を遠いイタリアから注意深く見つめた。

いくら民主党への失望と怒りが大きく、また選挙制度の影響もあるとは言え、3年前にレッドカードを突き付けた自民党に国民が雪崩を打って擦り寄り、同党が圧勝したのは驚きだった。

長く日本をリードし繁栄も招いた自民党の功績は大きいが、官僚支配の硬直した体制をもたらしたのも彼らであり、それを打破しようとして政権交代が実現したはずである。


それなのに、突然右へ倣え、みんなで渡れば怖くない、とばかりに極端から極端に振れる日本世論は不可解だし悲しい。

自民党への積極的な支持ではなく、消去法で仕方なく同党に票が集まったというのは恐らく真実だろうが、変化を模索しない世論は、変遷流転を恐れる者の人生にも似て膠着し、内向し、やがて精神の死をもたらす空しい出来事に見える。

変革を約束した民主党に裏切られた日本国民は、世直しの目玉ともなるべきいわゆる第3極勢力に期待したはずだが、彼らが維新や改革をスローガンに選挙のためだけの野合を繰り返しているのを見抜き、その反動もあって自民党の地滑り的な勝利になった、というのがごく当たり前の戦況分析だろう。

従って、国民が変革を望まなかったのではなく、政治家の方が真の変革につながる政策や大望を有権者に示せなかった、という見方もできる。でも政治は突然そこに舞い降りて存在するのではなく、国民の写し絵として形成されるものだから、選挙結果はやはり国民の意思であり責任である。

その観点から僕は自民党の圧勝に釈然としないものを覚える。自民党に怨みがある訳ではない。自民党長期政権の停滞と膠着と腐敗を嫌気して、3年前にこれを拒否しておきながら、あっさりとそこに回帰した日本国民の節操のなさに不安を覚えるのである。

選択肢が無かったという状況は良く分かる。が、せめて自民党は僅差で勝ち、自公合わせてようやく過半数制覇、くらいであってほしかった。なのに自民党は単独で過半数を大きく上回り、かつ自公で衆院三分の二の議席確保なんて笑い話にさえならない。どうしても多様性の欠落、という風に僕には見えてしまう。

はこの前の記事で書いたように、自民党も民主党も×。悪役がすっかり板に付いた小沢一郎さんに、一度宰相として辣腕を振るってほしいと思っている。彼の所属政党の無様を目の当たりにした今でもなお・・

多くの政党を作っては壊してきた小沢さんの目標が、日本に真の民主主義を植えつけること、だったという点に僕は強く賛同している。彼の政治手腕や金回りや多くの疑惑を承知の上で、である。

決して反米ではないが、アメリカに正面からノーと発言し、かつ論理的にその理由を述べる。それができるのは日本の政治家の中では小沢さんだけだと僕は考えている。

そして、日本の政治にとって最も重要なのは、アメリカと同盟協調しつつ彼らと対等な口をきき、彼らに我われを尊重させることである。日本と同じ敗戦国であるドイツやイタリアとアメリカの関係がそうであるように。

民主党時代は言うまでもなく、その前の自民党時代も、日本は常に米国にへつらう植民地メンタリティーにでっぷりと浸って生きてきた。新首相の安倍さんや自民党が突然そこから抜け出せるとはとても考えられない。

彼らはアメリカとの同盟関係を強化するとは言うが、卑屈な従属主義から抜け出すとは言わない。そして実は真の同盟関係の強化は、卑屈を排し対等な立場で付き合うところでしか成り立たない。それは一方が軍事的に強力で豊かで国力がある、という物理的な優劣とは関係のないいわば「精神の対等性」のことである。

こういう話をするとすぐに夢物語、非現実、夢想家などと嘲笑が飛ぶ。だがそれは、鎖国精神に呪縛された島国根性の持ち主たちの遠吠えに過ぎない。

国と国の関係は人と人の付き合いと同じである。たとえ非力で貧乏で口下手であっても、精神の毅然とした人間なら人は尊重し尊敬する。国と国の関係もそれと同じだ。

どうしてもそれが信じられないならば、もう一度言う。日本と同じくかつての敵性国であり敗戦国、かつ軍事的にも経済的にも従って政治的にも米国よりひ弱なイタリアとドイツを、アメリカは同盟国として「精神的に」対等な立場で付き合っている。

安倍新政権はまず、米国が独伊と同程度のリスペクトを我が国に払い続ける関係の構築を目指して行動を起すべきである。なぜなら日本の経済不振も停滞する外交も何もかも、主としてアメリカとの関係性の中で複雑にからみ合いせめぎ合い相克しながら進行する。それは物理的なものである場合ももちろんあるが、数字や経済だけでは説明できない「精神的な」ものもかなり大きいと思う。

そういう点で僕は安倍さんにはあまり期待しない。が、もちろん彼と自民党が僕の不信を裏切ってほしいとは思っている。

ないものねだりをすれば、いわゆる第3極勢力が一堂に会し融合して、好戦的で無礼で危険な石原慎太郎氏を排し、その上で橋下さんと小沢さんが握手をして、まず小沢さんが国の舵取りをしてみる・・という風な事態になれば、日本の政治も少しは面白くなり、国際世論の耳目も集めるのではなかろうか。そんな時代は今の状況では永遠に来そうもないけれど。

仲宗根雅則
テレビ屋
イタリア在住

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑