「甘え」でしかない日本人の英語力の貧弱さ --- 岡本 裕明

2013年01月07日 21:51

日経新聞の特集で「海外赴任嫌がる若手社員」という興味ある記事が出ています。その記事の中で屈辱的ともいえるのがこのくだりです。

「スイスの経営開発国際研究所(IMD)。同社によると英語を始め、ビジネスで必要な語学力を獲得できているかという調査で、日本は対象59カ国・地域のうち下から2番目の58位だった。」

59か国中58位とはいったい何なのでしょうか? 日本人はほとんどビジネス英語ができないといっても過言ではないのです。では、中学校からの義務教育や駅前留学は何だったのでしょうか?


私の経験からしますと学校教育の英語はほとんど意味を成しませんでした。あえて言うなら英語とはこういうものである、ということを頭に無理やり詰め込まれ、試験対応の英語限りであったと言って良いでしょう。高校の数学でSINE COSINE TANGENTなどを習ったと思いますが社会人になって使っている人は99.9%いなくて今、それを持ち出されても出来ないのと同じに近いのです。今は変わりつつあるのかも知れませんが、たいした期待はしていません。

では駅前留学。あれはABCクッキングと同じである、といってもお分かりにならないかもしれません。ABCクッキングという有名な料理学校のチェーンがあります。そこには若い女性が集まり少人数でひとつのテーマの料理を講師を中心に進めていくという構成です。ではABCクッキングに通う女性たちが学んだ料理を家庭で作る人がいるかというと極めて少ない比率であると聞いています。

なぜでしょうか? ABCクッキングに行く目的は皆と同じ目的意識を持って集まることが楽しいのであってそこから必死になって何か学んで持って帰るという意識が薄いのです。多分、駅前留学も同じで英語学校に行っていることで満足していますから外国に来てもほとんどしゃべることができないのです。

私はここ、バンクーバーでコンスタントに日本人の若い方を採用していますが、募集すれば一日で十通も二十通も来るレジメに対してほとんどレジメの体をなしていないものは見る前から落としてしまいます。英語の表現も誰かに作ってもらったな、と思われるレジメは大体わかります。ではどこで判断するかといえばカバーレターの表現で7割方判断しているのです。

そして英語ができる人はそのほとんどの方が英語と接触することが長かった人なのです。つまり、自分を英語環境に入れることでしか英語は上達しません。日本語が通じないのですから英語を使って生きていかねばならないのですから必死になります。当たり前ですね。

先日ある集まりで20歳の中国人クンとケベック出身者が流暢にフランス語で会話をしているので中国人の彼にどれぐらい勉強したか、と聞いたところわずか5ヶ月といいます。彼はフランス語を駆使してパイロットになりたいという夢を持っていたのでモントリオールで完全にフランス語漬けの生活をしたというのです。

また、別のあるとき、カナダ人のご主人と韓国人の奥さんと食事をしたとき、奥様の英語が上手なのでこちら生まれですか、と聞いたところ、わずか4年前にカナダに来てそれまでは英語はぜんぜんできなかったというのです。今は立派に某チェーン店のカフェでひとりで店を切り回しています。

日本人が英語ができないのは甘え以外の何物でもありません。ましてや若者の海外志向の低下は日本の国際競争力の低下ともいえるのです。何度も言いますが、日本の企業はもはや社名は日本の名前でも従業員は外国人というところが急速に増えているのです。

安倍首相がどれだけがんばっても日本を変えるには政治や金融政策と同時に日本人のマインドが変わらねばならないということに気がついてもらいたいと思います。島国の日本人にとって外国は休暇のときに観光という名前で外国に行った気になるだけで本当の外国を知っている人はほんのわずかなのです。それが故の59か国中58位であるということでしょう。

日本は本当に目覚めますか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年1月7日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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