2013年、真の「アラブの春」を待つ

2013年01月08日 02:10

シリアのアサド大統領が昨日(2013・1・6日)、首都ダマスカスのオペラハウスで演説し、その模様が国営テレビで生放送された。僕は中東衛星放送のアルジャジーラで演説の一部を見た。


アサド大統領は退陣を迫る国際世論に対して、シリアの反体制派の戦闘員の多くは、アルカイダなどの外国のテロリストであり徹底してこれと戦う、などと述べて権力にしがみつく姿勢を改めて示した。

同大統領の演説は昨年6月以来であり、内戦勃発後では異例の出来事と言える。この事実は、国の内外で狭まり続けるアサド包囲網に対する政権側の危機感のあらわれではないか、と思う。ぜひそうであってほしい。

僕は地中海域のアラブ諸国に民主主義が根付き、自由で安全な社会が出現すること願い続けている。それは圧政に苦しむアラブの民衆が解放されて、平穏かつ自由な世の中になってほしい、という当たり前の純粋な気持ちから出る願いである。

そればかりではない。実は僕は利己的な理由からもアラブの「本当の」春を心待ちにしている。

僕は1年に1度地中海域の国々を巡る旅を続けている。ヨーロッパに長く住み、ヨーロッパを少しだけ知った現在、西洋文明の揺らんとなった地中海世界をじっくりと見て回りたいと思い立ったのである。

計画はざっとこんな具合である。

まずイタリアを基点にアドリア海の東岸を南下しながらバルカン半島の国々を巡り、ギリシャ、トルコを経てシリアやイスラエルなどの中東各国を訪ね、エジプトからアフリカ北岸を回って、スペイン、ポルトガル、フランスなどをぐるりと踏破する、というものである。

しかし、2010年にチュニジアでジャスミン革命が起こり、やがてエジプトやリビアやシリアなどを巻き込んでのアラブの春の動乱が続いて、中東各国には足を踏み入れることができずにいる。

この地中海域紀行では訪問先の順番には余りこだわらず、その時どきの状況に合わせて柔軟に旅程を決めていく計画。従ってそれらの国々を後回しにすることには問題はないのだが、それにしてもあまりにも政情不安が長引けば良い事は何もない。

昨年はトルコを旅し、その前にはギリシャとクロアチアをそれぞれ2回づつ巡っている。そろそろアラブの国にも入りたい。できれば先ずシリアに。

ことし、もしもその夢がかなうなら、それは内戦状態のシリアに平穏が訪れたことを意味する。ぜひそうなってほしいと思う。それはただの希望的観測ではない。

これまで強硬にシリア支持を表明し続けてきたロシアが、アサド大統領に反政府勢力との対話を模索するように促がしている、という情報も漏れ聞こえてくる。

それが事実かつ進展するならば、シリアにも間もなく民主的な政権が生まれ、停滞している他のアラブ諸国の民主改革にも好影響を与えて、やがて中東全体に真の「アラブの春」が訪れる、というシナリオが見えてきたように思うのである。

仲宗根雅則
テレビ屋
イタリア在住

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