大学が倒産詐欺? 東京女学館大学閉校問題 刑事訴訟で新局面に

2013年01月22日 07:38

大学センター試験が終了した。新聞には解答速報と一緒に多数の大学や予備校の広告も載っていた。河合塾の広告のコピーは「自分の夢まで、自己採点しないでください。」だった。とはいえ、学生はこれから夢と現実をすりあわせつつ志望校を決める。

君たちと、その保護者に言いたい。大学選びは慎重に。大学に騙されるな。東京女学館大学のように、「倒産詐欺」まがいのことを行う大学があるからだ。


これまでもアゴラで、東京女学館大学の閉校問題(募集停止問題)についてレポートしてきた

過去の記事はこれだ。

東京女学館大学閉校が物語るもの 学校経営のプロ登場待望論
http://agora-web.jp/archives/1452552.html

東京女学館大学閉校は「権力の暴走」であり「詐欺」である。
http://agora-web.jp/archives/1452636.html

東京女学館大学閉校問題のその後 美しい撤退とは?大学経営のプロ待望論
http://agora-web.jp/archives/1455668.html

善良な市民は「つぶれる大学」を見破れない 田中真紀子よ東京女学館大学をどうするのか?
http://agora-web.jp/archives/1495932.html

事態は新局面に突入した。『AERA』など既に一部のメディアでは報じられているが、1月17日に学生の親を中心とした15名が福原理事長や梅津、三原常任理事に対して、刑事告訴を行ったのだ。

罪状は「詐欺罪」である。

告訴の要旨は、次のようなものだ。

大学の理事会は既に平成24年3月中旬東京女学館大学の閉校を決定していたが、平成24年度の入学希望者、入学予定者及びこれらの者の保護者が閉校の事実を知れば、本件大学への入学をとりやめることを認識していたにもかかわらず、故意に上記閉校の事実を隠蔽して本大学が継続して存続するかのように入学希望者らを欺き、その旨の錯誤に陥った入学希望者ら52名に本件大学への入学を決意させ、入学金、平成24年度の年間施設運営費を3月以前に、前期授業料・課外活動費・同窓会費を5月1日までに、52名で合計63,336,000円を詐取したという詐欺の事案である。

また、常任理事1名の「過去」についても、おおよそ学校法人としてはふさわしくないプロフィールなのであるにも関わらず、この者を理事として選抜した件についても触れている。

同校が募集停止を発表したのは5月1日であり、GWの間に保護者向けの説明会を行った。4月末日が前期授業料の払い込み期限である。要するにどう考えても募集停止は決まっているにも関わらず、入学金に加え授業料も振り込ませ、その翌日に募集停止を発表したのではないかということだ。

また、学校教育法93条で、重要事項を審議する場として教授会が定められ、施行規則でそれは代議員会でもよいと定められている。今回のケースは、4月25日評議会(代議員会に当たる)26日に教授会で審議する前に、4月24日に理事会が文部科学省に募集停止、閉校の報告をしている点である。その報告書にもはっきり、これから説明予定と書いてある。

これは学校教育法93条違反であり、受け取った文部科学省担当部署も問題である。

この経緯は、これまでも何度も書いてきたので割愛したい。

私が言いたいのは、ぜひ、この件について文部科学大臣、文部科学省は大学を訪問し、大学評議会、教授会などで双方の言い分を聞いて頂きたいということだ。保護者が15人詐欺罪で訴えられる理事会は、なにか問題があると考えるのが普通だ。「私学のことには介入しないという方針」はいいが、最低限調査はするのが主管官庁のつとめではないか。現場第一主義で考えて頂きたい。

昨年からこの東京女学館大学閉校問題について書くたびに「大学も潰れる時代だからしょうがない」「日本に大学は多すぎる」というご意見を頂いてきた。

大学も潰れる時代だというのには同意するし、潰した方がいい大学も沢山ある。大学が多すぎるという意見にも総論は同意だ(ここは、役割、中身も考慮して議論しなければ単純に多い少ないとは言えないというのが私の意見なのだが)。教育の質の保証、向上も問題であると、自分自身が大学の非常勤講師と、大学院生をやっていてそう感じる。

しかし、だ。

いくら強い消費者、賢い消費者になるべき時代と言ったところで、潰れる大学は簡単には見分けられない。もちろん、財務状況など分からなくはないが、とっくに赤字で、他の事業(例えば、同じ学校法人の中学や高校)で補填している事業、そもそも財務がよく見えない大学などもあるので分からない。

今回のケースのように、学校教育法93条違反しても「やめます」と言えばそれまでなのだから、見破りようがない。

「他大に編入すればそれでいい」という意見もあったが、教育の継続、一貫性、大学への愛校心などを配慮すると、そうも簡単に言えまい。

だから、「大学も潰れる時代」という論調のどさくさにまぎれて、今回の件を放置してはいけないのだ。

告訴が今後、どのような展開を見せるのか、文部科学大臣、文科省はどう対応するのか?注目したい。

ぜひ、双方の言い分を聞いて、そのうえで判断を下してほしい。この対応が、悪しき前例となってはいけないのだ。

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常見 陽平
千葉商科大学国際教養学部専任講師

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