体罰が必要というなら、毎日何十発誰かに殴られてみればいい

2013年01月24日 13:22

アゴラで体罰を容認するブログを書いている方がいます。高校時代の部活は「顧問は名ばかりで見にも来ない、そもそも泳げない人」だったということですから、スポーツの現場で指導を受けたことも、また指導したこともない方のようです。前回に「体罰は正しく使えば確実に効果があります」となんら根拠もないことを書かれていたのはスルーしたのですが間違いを指摘しておきます。
スポーツにおける体罰について2 :


たんに常識がないだけなのか。ヘタレ水泳部での経験しかなく、その時の思いをもとに持論を展開し、自由意志では限界があり、体罰を受ける権利もあるというのです。こういった間違った認識はスポーツの健全な発展にとって決してプラスになりません。

自主的にやっています(誰からも強制されない)から、私は練習を常に全力ではできなかった。どうしても、所々(もっとか……)、力が抜けます。もちろん、部員同士、励ましたり、注意し合ったりしますけれど、自由意志では限界があるのです。

まったく間違っています。

自由意志では限界があるのではなく、
強い自由意志がなければ、強くはなれないのです。

この方はたんに誰も指導してくれなかった、練習のしかたもわからなかった、自分も遊び以上にやる気もなかったといっているにすぎません。たんに「(体罰を含め)強制されなければあれ以上の練習は、私の精神力では無理だった」だけのことでそれ以上でもそれ以下でもないのです。

強い選手は、記録を出したい、試合にでたい、そして試合で勝ちたいという強い気持ちを持っています。その強い気持ちがなければ厳しい練習に耐えられないでしょうし、また試合に出ても、気持ちで競い負けてしまいます。その「強い自由意志」をどう育てるかも指導者の力量、また切磋琢磨で競い合う環境や仲間の存在です。

さらにこの方は、「強制されないと理論通りできない人」という人には体罰を受ける権利があるように書かれていますが、こちらも間違いです。マゾヒストには心地よいのかもしれませんが、結果としては暴力が容認され、その暴力から逃れる自由を奪うことになるのです。

「強制されないと理論通りできない人」というのではなく、
「指導されないと理論通りやれない」というのなら、ほとんどの人がこちらに入るでしょう。

なぜあえてこのブログにツッコミをいれようと思ったかですが、怪我をさせるような暴行、あるいは相撲や柔道で問題となったリンチなどと、厳しい指導、身体を張るような指導との区別ができていない人がいまだに多いと感じるからです。

本人には、なんのためにもならないような、また競技のスキルアップにも役立たない間違った指導による強制があったときに、この人はどうするのでしょうか。そういった考え方が指導者の思い込みや緩みを生み出す原因にもつながってきます。

経験がないからしかたないのかもしれないですが、「もっと練習して速くなるには、体罰を受けるしかなく、そうしたかったと思っているわけですとされていますが、この人の言う「強制」は、厳しい練習メニューを課すこと、またその練習メニュー、あるいはそれ以上をこなす動機付けの問題であって、「体罰」とは同じにできません。体罰で強制され、みせかけが強くなった選手はいざというときに精神的にもろいのです。

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またサインを見落とした沢村投手を阿部捕手が頭を叩いたことも「体罰」としていますが、気持ちが動転し、冷静さを失っている様子を見た阿部捕手が頭を叩いて、正気に戻らせただけで、写真にあるように手は平手のままです。意識を失っているに等しい沢村投手が正気になったからあっというまに立ち直ったのです。「体罰」というよりは「ボディランゲージ」で、それでやられたほうが怪我をすることも、心が傷つくこともありません。

それと「体罰」の名のもとに行われる暴行や、柔道や相撲であったようなリンチとは異なります。それは教える側、まわりのフラストレーションを解消する行為にすぎず、指導とはいえません。
「キャプテンを降ろされることで悩まされるなら体罰を受けたほうがいい」というちょっと常軌を超えたことを書いていらっしゃいますが、何十発も殴られ、ご両親が告訴にいたるような暴行を受け、さらに精神的にも追い詰めたのです。それは、本来、子供をスポーツで育てるというよりは、そこにあるのは自分が思い通りにならなければ、暴力と脅しでいいなりにさせる卑怯な指導者の姿です。

さらに「体罰は、自殺という重大な結末に対してそれほど大きな原因ではないと思います」と断定されていますが、なぜ外野席からそんなことがいえるのでしょうか。テレビの街頭インタビューなどで、桜宮高校の事件に関して、同じように思っている人がいるようで、まことに残念なことです。

最後ですが、桜宮高校の部活は、指導方針を固まるまでは、しばらくは休部にすることが望まれます。あの元キャプテンたちの会見は誰がしくんだものかはわかりませんし、編集でカットされている部分もあると思いますが、仲間が自殺した問題についてはほどんどの話がなく、自分たち、また自分たちの部活のこと、指導してくれた先生への思いばかりでした。体罰を見逃し、仲間を見捨てた自分たちを恥じることから学ばなければ、なんのためにスポーツを学んできたのかさえ疑問を感じさせるものでした。

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大西 宏
株式会社ビジネスラボ代表

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