二つ百円の電球と日本経済

2013年01月30日 14:34

食料品以外滅多に買い物をする事はないのだが、先程駅前の百円ショップで電球を買って来た。自宅リビングの照明用の電球が切れ、購入せねばと思っていた所、友人から今は百円ショップで買えると教えて貰ったからである。


家電量販だと一番安いのでも300円はするなと思いつつ無事購入し、今帰宅し取り替えた所である。箱を開けたら何と一個ではなく、仲よく二個も入っていた。

一個@50円!。余りに安くて本当に驚いてしまった。何処で製造されたのか箱の裏面を確認したら、矢張り最近良く目にする「DADE IN CHINA」であった。

二個百円でも充分安いが、日本の製造業は人件費の上昇が激しい中国を見限り、ベトナムへの移転を加速していると聞く。更にはベトナムより尚人件費の廉価なミャンマーにも近い将来日本企業が殺到するとの予測である。

百円ショップで電球を買って箱を開けたら、三個、更には五個入っていたと言う日が間もなく来る訳である。

これに対し、安倍政権は「物価」を上げると張り切っている。問題は勿論実効性だが、私は悲観的である。

電球を例にすれば、財政を出動させて、今後行う公共事業に国産の@300円の電球調達を義務付けるという手法は可能である。しかしながら、財源に限界があるので何時までも継続する訳には行かない。

耐用年数が来て買い替えの時にはずっと安い、五個で百円の電球を選択するはずである。

財政による刺激策の問題は再現性のない事に尽きる。

一方、日銀による金融緩和の方はもっと疑問だ。多分、安倍首相は市場に資金が潤沢に回れば「設備投資」が増え、新たな「雇用」が創出されるので結果「賃上げ」に繋がると思っているのだろう。

更には、「賃上げ」により現役世代の購買力が増えるので、結果、消費拡大による「内需拡大」の如きを夢想しているのだと推測する。

問題は国内で電球を製造している企業の経営者が、銀行から新たに借り入れを起こし、電球工場を新設しようと考えるかどうかである。近い将来@20円の電球が輸入されるという悪夢が正夢になりそうな状況なのに?

現実的には、国内工場にある中古の製造設備をミャンマー辺りに持ち込み、@20円のプライスレベルに対抗しようと考えるのではないだろうか?

勿論、今一つの選択肢は廃業である。何れにしても国内での雇用は喪失する。

「電球」を例にして面白可笑しく説明した積りである。しかしながら、日本に取って頭が痛いのは、今回の内容は、何も「電球」に限定した特殊な話ではなく、日本で製造される全ての商品に当てはまるという事実である。

安倍政権経済閣僚の認識は1985年のプラザ合意以降も何も変わっておらず(世界経済は激変しているのに)、まるで闇に向かって機関銃の連射をするが如く無駄玉を撃っている気がする。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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