カリスマ経営者には賞味期限がある~日本的経営の再評価 --- 岡本 裕明

2013年02月05日 16:21

このところアップル社に対する厳しいコメントがあちらこちらで上がっています。1月29日日経夕刊のウォール街ラウンドアップでは新債権王のジェフガンドラック氏が昨年春からアップルの時代は終わると言っていたことで注目されているそうです。私もその頃からこのブログなどを通じて言い続けていたのですが、彼はアップルの熱狂的な株価は実態を伴っていないという考えからそのように述べたようです。


私はジョブズがいないアップルはアップルではないという理由からでした。アメリカの企業にはカリスマ経営者が多々存在します。企業の業績はカリスマ氏によって大きく伸びることが多いのですが、今日はカリスマ氏にも賞味期限はあるという考えを私は敢えて言いたいと思います。つまり、仮にジョブズ氏が健在であったとしたらアップルは鮮度を保てたのか、という疑問は残るのです。

ジョブズ氏がなしえなかったプロジェクトにアップルTVがあります。以前に販売したことはあるのですが、鳴かず飛ばずで割とその存在すら知られていないかもしれません。その後、本物のアップルTVの開発が何度となく噂されましたが結局、現時点でまだ具現化されてません。一人の人間がなしえる成功とは案外限定的ではないか、と私は思っています。

ユニクロの柳井正氏が「一勝九敗」という本を書かれています。人生失敗だらけという講話、逸話は著名な経営者から常に聞こえてくる話であります。これを美談とするならば失敗を恐れてはいけないとか、失敗を繰り返すことでいつか成功する日がやってくる、ということになるのですが、逆さまにして言えば、どんな才能のある経営者でも大成功するのは人生せいぜい一度か二度ぐらいしかない、ということでもあります。

典型的な集団合議制の日本的経営の優れているところは大ヒットが出にくい反面、会社の方針が脈々と次世代に引き継がれるということでしょうか?朝礼で社是を唱和するのはまさに会社を神聖化しているといっても過言ではなく、そこでは経営のブレが生じにくいということであります。

ですからトヨタは常に90点を取れる車を売り続け、着実に階段を上る戦略が今の地位を築いたともいえるのでしょう。

世界が注目する大ヒットを飛ばす会社はアメリカに割と多いと思いますが、その会社と共にそのトップ、創業者が会社の顔として常についてまわります。一方で仮に「栄枯盛衰、人生一勝九敗」という方程式が正しいのであれば、既に成功している会社に次の成功を期待する確率は案外低くなるということです。以前、フェイスブックの上級職の人材流出が話題になっていましたがこれも同社の幹部がザッカーバーグ氏と成功体験を共にしたので次の成功経験を求めてさまよう、としたらつじつまは合います。

日本的経営のよさは経営が安定しているということにほかなりません。誰が社長でも社員が会社のことを非常によく理解して、その歴史を一歩ずつ重ねているということでしょうか?そう考えればこれからの時代、日本的経営を再び注目しても面白いかもしれませんね。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年2月4日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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