組織はなぜダメになるのか ?

2013年02月08日 07:33

これから世に出ようとする若者に取って大事な事はダメな組織に所属しない事である。古来、「朱に交われば赤くなる」というが、これは本当でダメな組織に所属すればダメになるし、腐った組織の腐臭を我慢する内に本人も腐ってしまう。


結果、これからという人生を棒に振ってしまう訳である。

従って、就活に忙しいかも知れないが若者は一度立ち止まって「組織はなぜダメになるのか ?」、を自分の頭でじっくり考えてみる必要がある。

民間企業で多いのは、外の変化に付いて行けないケースである。

民間企業は企業ドメインこそ違え、「サービス」であったり「商品」を市場に提供し、販売価格から原価を差し引いた差額を「粗利」として手にする。これこそが、企業のダイナミズムの源泉である。

全ての企業は「粗利」を一円でも増やしたいと切実に願っているのである。

そのために必要な条件は「優良ビジネス」を行っている事である。そして、最大の問題がここにある。商品サイクルが余りに短すぎるのである。

苦労して胸を張れる「サービス」や「商品」を市場に投入する所まで漕ぎ着けたとする。少し前なら、少なくともその後10年間は「優良ビジネス」を謳歌する事が可能であった。

今はどうであろう? 3年で「薄利ビジネス」に転落し、更に1年後「不採算ビジネス」に陥落という所ではないのか?

理想をいえば、「優良ビジネス」であっても「薄利ビジネス」への転落の予兆が見えた段階で、生産をベトナムやミャンマーに移転して原価を下げるとか、或いは思い切って廃業するとかの、具体的な検討を開始すべきなのである。

そして、「薄利ビジネス」に転落したら間伐をいれず計画を実行する。これなら、「不採算ビジネス」への陥落を回避出来る訳である。

しかしながら、家電製造業が良い見本であるが日本企業は撤退が基本下手である。どうするか、小田原評定を繰り返す内に巨額の赤字を溜めこむ結果となる。

こうなってしまえば、最早リストラ原資も捻出出来ず、自社社員を「追い出し部屋」の様な所に閉じ込めて退職を強要する羽目になる。

これは最早組織の末期症状であり、こんな組織に所属する社員は限りなく不幸である。

ヒートテックの様な魅力的な商品を矢継ぎ早に市場に投入し、その上、海外市場に貪欲に進出するユニクロの様な会社組織は活気があるに違いない。

勿論、そこに所属する社員は「新規商品」の企画であれ、「海外展開」戦略であれ、高度に専門的なアウトプットを求め続けられる事になる。

一方、「正社員」という「身分」 で説明した様に、三菱商事実例の如く主力本部をそのままシンガポールに移転さすというやり方もある。

シンガポールに移れなかった社員は三菱商事正社員の身分を失い、多分孫会社の社員になってしまうが組織は活性化するはずである。

次に良くあるケースは「魚と組織は頭から腐る」を地で行くケースである。

ITバブルの頃、雨後の筍の如く多くのベンチャー企業がIPOに成功した。しかしながら、今尚ダイナミックにチャレンジを続け成長している企業といえば、ヤフージャパン、楽天などほんの一握りではないのか?

IPOに成功したベンチャー企業の良くあるパターンは、株式公開時の株価がピークでそれ以後下がり続け、下がりきった以降は地を這い決して上昇しないというもの。決算内容が悪いから当然といえば当然であるが。

何故こうなるかは面白い程単純である。IPOに成功した時点でベンチャー経営者は幾分かの持ち株を市場で売却し分不相応に金持ちになる。それでも、筆頭株主に留まるので言い方は悪いがやりたい放題が出来る。

社宅扱いで家族のために豪華な邸宅を購入する。社有車として贅沢な高級車を購入し私用に使う。社員の福利厚生名目で別荘やクルーザーを購入し本人や家族が使う。

一方、ベンチャー企業という事で社員の給料は低いままに据え置く。当然、転職出来る社員は辞めて行き、ダメ社員のみが滞留する。会社組織は破れ鍋(ダメ社長)と綴蓋(ダメ社員)の関係で既に終わっている。何れ破綻は時間の問題であろう。

最後は、「正社員」や「公務員」の「身分」が強過ぎての弊害である。

以前友人から面白い話を聞いた事がある。

友人の自宅は川崎市宮前区にあるのだが、区役所が高台にあって訪問するにはやや不便との事である。そこで、「住民サービス」と称して出張所があちこちに設けられているらしい。

そこでは、60才位の職員が二人働いていて所定の申込用紙を提出すると「住民票」や「印鑑届」を発行してくれるとの事であった。何時行っても他に客は居らず暇そのものとの話である。

色々含めて職員一人当たり月に@100万円の経費を負担し、100枚の「住民票」や「印鑑届」を発行したとしたら一枚当たり2万円の人件費という事になる。

友人は「やる気のなさ」のマイナスオーラ満載の職員だから、区役所から追い出したかったのだろうと笑っていたが、実は笑い事ではない。本来は解雇すべきなのである。しかしながら、地方公務員という「身分」にがっちり保護され解雇出来ない。

それでは! という事で「住民サービス」を隠れ蓑にあちこちに無駄な出張所を開設しダメ職員を追い出している訳である。実質「追い出し部屋」なのだがPanasonicとの違いは、区役所職員は何分公務員なので仕事がないのは平気で、のんびり、楽しく過ごしている点だと推測する。

「組織」のための「公務員」ではなく、「公務員」のための「組織」だから、当然非効率で高コスト体質となる。

高度成長時代なら兎も角、これからもデフレが継続するであろう日本にこんな出鱈目が許容されるはずがない。この事は地方公務員の将来は限りなく暗い で説明した通りである。

長々書いたが結論としては、将来ある若者は仕事は厳しくても、今は当然として将来も健全さを保つ組織に勤めるべきという事である。そして、健全な組織は有能な人材しか必要としないので、例え職を得る事に成功しても絶えざる研鑽が必要という事である。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑