イマドキの働きかた(その1)

2013年02月08日 16:23

僕が「イマドキの起業のしかた」を書いたのはちょうど3年前だった。あれから1年後に経過報告も書いたけど、3年経った今、実際のところどうなっているのかまとめてみたい。結論から言えば、起業のしかたも会社の勤め方も変わった。そう、なんでもない単に、働きかたが変わったのだ。

そこで今日は、「イマドキの働きかた」を書いてみたい。

イマドキの働きかたとはどんなものだろうか。最近よく話題になる「ノマド」はその一種だと思うけど、「ノマド」は単なるフリーランスの延長線上、僕からしたら今まで暗い自宅の部屋で作業していた人が外のカフェとかコワーキングスペースで仕事ができるようになっただけのものである。ノマドが非難される要因もだいたいがこの辺にあるのだろう。


一方、企業に勤めている人はかわいそうかな、この間の大雪などの時も決まった時間に通勤をしなければならずまったく融通が効かない。大混乱の中でストレスばかりが溜まる仕組みは変わっていない。全くもって不幸なことだ。

「イマドキの働きかた」を定義付ける前に、「イマドキの起業のしかた」から弊社がどのようになったか少し説明しておきたい。

弊社ジークラウド社は、その名の通り、クラウド上に存在する会社組織というビジョンを持って創業している。iPhoneとAndoridに特化した事業をメインしているが、その中でも成長しているのが教育事業で、今や全国に50ヶ所以上にスクールを増やすことができた。そしてそれでも依然弊社は社員は0で、専任はたったの1名しかいない。無数の業務をネットワーク上で管理し、関係者は恐らく200名を超えると思うが、ほとんど会って仕事をすることはない。

ジークラウド社のRainbowAppsスクールコアバリューはクラウドコンピューティング上のオンラインシステムにあり、顧客情報もカリキュラム情報もすべてクラウドに格納されている。全国50校のライセンシーや2000名を超える受講生には、Google Appsアカウントでアクセス権を与え、一元管理している。社員は0だが、事業用のGoogle Apps管理アカウントは 200を超えている。

それぞれのアカウントには、業務の役割が割当られており、アカウントの背後に実際に稼働する人が配置される仕組みで、簡単に言えば弊社は重要なアカウント以外、アカウントの背後でだれが仕事をしているかは一切管理しない。たぶんここまで読んで全く意味がわからない人も多いだろう。わかりやすく言えば、ほとんどの業務をアカウントに紐付いたソフトウェアが代行しており、24時間、365日稼働してくれるのだ。

人を24時間、365日働かせると、すぐにブラック企業だ!社畜だ!と叫ぶ人がいるけど、ソフトウェアアカウントであれば文句も言わずごく限らられた業務ではあるけれど忠実に、確実に働いてくれる。

イマドキの働きかたを実践するにあたり僕には絶対に譲れない2つのルールがある。

1つ目:単純作業はソフトウェア化させる
2つ目:クラウド型の組織を作る

この2つをベースにして、自分自身の仕事や働くという意義を見なおしてみよう。

1つ目の「単純作業はソフトウェア化させる」とは、
可能な限り人は使わない業務のことで、人の能力は問題解決能力のみに使いたいという思想である。そもそも多くの人が社畜やブラック企業を非難し嫌悪するのは、奴隷のような労働を上からの命令で押し付けることにあると思う。一方、自らが望んでこの仕事をやりたいというモチベーションを与えることができれば、人は基本的に能力の限界まで価値を創出しれくると信じている。

20世紀はそういう意味において、製造業が単純な組立作業をロボット化し、労働市場にホワイトカラーを生み出し工場労働者に対する優越性を生み出したと言える。

しかし21世紀になり、テクノロジーがここまで発達したにも関わらず、毎日つらい通勤を強制され、非効率的な情報処理のためのサービス残業を強いられ、上司の機嫌を伺うというスタイルが一般的なままである。従ってイマドキの働きかたというのは、これらの問題を解決する方法を見いだせればよいことになる。まとめると3つに集約されるだろう。

・通勤からの解放
・非効率的な情報処理の改善
・上司(組織)の圧力からコミットメントへの転換

多くの社員が抱えている根本的なストレスや問題、不満は、給与や仕事の量や質ではなく、仕事を遂行するためのプロセスそのものではないかと思う。だからノマドのようないつでもどこでも働けるというのは企業に勤める人たちから見れば甘えであり、軽視される対象で、結局企業側から仕事が発注されなければハエを叩くようにすぐ死んでしまう怪しい仕事のスタイルに見えるのだろう。ノマドで生き残れる人は、その人の専門的な能力が突出している必要があり、100人いれば1人くらいになるだろう。

テクノロジーの進化は、本来ならいつも何かの問題を解決するために使われるものだ。だから今起きているスマートフォンやクラウドコンピューティングの進化でこれらの問題を解決してみたい。

・通勤からの開放
 →なぜ企業は通勤を強制するのか。通勤を100%なくすことはできないのか。答えはなくすことはできる!だ。

厳密に言えば、通勤をなくして出勤管理だけすればよい、だ。
会社に行かなければいけない理由は、そこに業務を遂行するための「情報」「道具」「人材」があるからだ。だから高度な医療業務を遂行するにはその場所に行かなければならないし、そこでしか処理できない情報や人材がいればそこに行くしかない。

しかしそうでない場合は、必ずこの時間、この場所にいなければならないという理由は、単なる出勤管理と業務の相互監視以外ないと思われる。この出勤管理だが、社員に通勤をなくしてどこでも、何時からでも仕事していいと言うと、ほぼ間違いなくサボる!サボるというより作業効率や生産性は時間と場所で管理している場合と比べて格段に落ちる。これは僕がこの3年間いろいろトライしてきた結果得た結論だ。

だから通勤をしなくてよい働きかたを実践できるのは、自分の仕事の生産性が落ちたら困る、または落ちたら報酬が受け取れない個人事業主(ノマド)に集約されてしまうのだ。

通勤とは、江戸時代の参勤交代と同じで、この場所(会社)に来ることにより忠誠心を高め、業務の相互監視と生産性を管理するための非常に優れたやり方と言える。だから経営者側からすれば通勤をなくすには、それ以上の生産性が上げられると確信しなければならない。テクノロジー的には通勤はなくすことができるのに、人の労働生産性から通勤をなくすことができない、というのが本当のところだろう。

だから今起きている現実は、「イマドキの働きかた」ではなく、「イマドキの働かせかた」であり、社員はつらい通勤がありつつ、いつでもどこでもオンラインで仕事や顧客対応させられるというクラウド型労働を強いられてスマートフォンから逃げられないのである。

ここまでですでに長文になってしまったので、次回は、

・非効率的な情報処理の改善
・上司(組織)の解体

2つ目:クラウド型の組織を作る
について何回かに分けて記事を掲載しようと思う。

今、世界では企業組織のあり方、働きかた、生産性の上げ方、管理の仕方、個人に求められる能力やスキルというのは劇的に変わってきている。すなわち重要なのは、今までの企業の仕組みそのままでそれにテクノロジーを合わせていくのではなく、進化したテクノロジーに企業の仕組みを合わせていくということだ。それができる人や組織はまだ少ない。

記事は何回かに分けて書いていくので、読者の方も思うことがあればいろんな意見を聞かせてほしい。

渡部薫

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