ネコ好き小太り容疑者は果たして真犯人なのか

2013年02月10日 16:03

去年から今年の年頭にかけて話題になった遠隔操作ウイルスの容疑者が逮捕されたようです。捜査の過程では四人が誤認逮捕されて警察批判が高まり、江の島のネコの首輪につけられたSDカードではネット上のネコ好きが祭りを演じました。

この事件では誤認逮捕、というのも大きな問題になったわけで、今回の容疑者が果たして真犯人なのかどうかは焦点の一つになってます。警察もその威信を懸けて捜査に臨んでいただろうから、かなり確証をつかまないと逮捕状を請求できなかっただろうし裁判所も逮捕状を出せなかったでしょう。さらに、容疑者逮捕の段階で顔写真や実名が出ているので、これはかなり確度が高そうです。


逮捕に至った過程は、昨年末、遠隔操作ウイルスの犯人とされる人物が警察やマスメディアに問題を出したところから始まったようです。その問題に答えると、江ノ島のネコの画像が出てきました。情報を得た報道関係者(ロケットニュース24)がそのネコを江ノ島で捕獲。首輪から情報が書き込まれたマイクロSDを回収して警察に提出しました。

そのネコ周辺や江の島への路上などの監視カメラに映っていた人物画像が、まずは逮捕の証拠になっているようです。ようするに、ヴァーチャルからリアルへ犯行の場を移した瞬間、現実世界の捜査に強い警察に追い込まれることになったというわけ。愉快犯らしい逮捕のされ方とも言えますが、あまりに杜撰な振る舞いだったので真犯人らしくない、という意見もあります。ネコに首輪をつけた人物=真犯人、という確証もない。まだ誤認逮捕の可能性がある、ということです。

これまでの緻密な犯行から類推すれば、もしも彼が真犯人だとすると当然、物証などは隠滅しているでしょう。今後、自白しないとすれば、過去の犯罪歴、監視カメラの画像だけで立件送致が可能かどうか要注目です。仮に誤認逮捕だった場合、警察を笑いものにしたい真犯人は必ずその事実を広めるはず。ちなみに、今回の容疑者は2005年に仙台の小学生やレコード会社avex、同社社長などを対象に犯行予告や脅迫を繰り返していました。警察への怨恨が動機なら、この際の取り調べなどを逆恨みしている可能性があります。

容疑者は「小太りでメガネ」のネコ好き、ということで、これはネット住民に共通する自画像らしい。予定調和とも言える風貌に脱力する人も多そうです。しかし、早くもネット上ではこの逮捕劇について話題が盛り上がっています。反権力反警察のルサンチマン的感情や同じネット住民としての同情心からか、真犯人をアノニマスのようなヒーローにする傾向も見受けられます。

一連の遠隔操作ウイルス事件にしても警察を振り回す手口にしても犯人が悪いのは当然。誤認逮捕が出たとしても、PCを遠隔して犯行を実施した犯人の責任です。小学生の殺害を予告したり無関係の企業家や家族を脅迫するなどした事件の犯人がもし今回の真犯人だとすれば、彼を野放しにすることはかなり危険だと言わざるを得ません。

有事の際には敵国からのハッカー攻撃も予測され、政治行政経済界など、あらゆるシステムで強固なマルウエア対策が急がれます。サイバー空間における警察の捜査能力に依然として疑問符がつく状況で、サイバー愉快犯を野放しにしていて、こうした措置がスムーズに進むとは思えません。また、昨年末のコミケ脅迫事件などのように、我々の実生活にもサイバー犯罪の影響が強く及び始めています。

もちろん、政府行政からの過度で違法なネット検閲も危険だし防ぐべきです。だが、もはやネット環境なしに実世界が成立しない以上、便乗犯を出現させないという意味でもヴァーチャル空間で反社会的存在の暗躍を許してはいけません。

石田 雅彦

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