若者が失ったものは「修行の場」では?

2013年02月13日 06:58

昨夜は懇意にしている経営者から食事に招かれ色々とお話、意見交換をさせて戴いた。


この方は40代半ばで現在二つの企業を経営されている。一つ目の会社は順調で、二年前に立ち上げた今一方の会社もここに来て急成長しており次に何をやるか考え中という所である。

面白いなと思うし、感心するのは、会社がある程度軌道に乗ると有能で独立心の高い社員に経営を任せ本体から切り離している点である。

以前、会社を余り大きくすると目が届かなくなるし、何時でも手が届く範囲の社員数20人位が理想ですよ!と言ったらニコッと笑っていたのを今でも覚えている。

この社長はきっと「引退」するまで生涯「ベンチャー経営者」で走り続けるはずだ。

さて、先ず最初に話題となったのは以前のアゴラ記事、「使えない人」、「使えなくなる人」、「使える人」である。

これから、共に酒を酌み交わし食事をしようとするタイミングである。当然、中身が良く出来ていたと褒めてくれた。

そして、話題の中心は「若者が失ったものは「修行の場」では?」に徐々に移行した。

先ずは、この社長の「山口さんの時代は良かったですよね!」で、この話題に移った訳である。

確かに、私の時代は「会社」が金のかかる海外留学を含め若手社員に「修行の場」を無償で提供してくれた。

前回の記事では書かなかったが、「修行の場」であると共に「経済的メリット」も大きかった。

例えば、私は二年目でドイツ留学を果たしたが、留学の経費は全て会社負担は当然として給料も支払ってくれた。それも、ドイツ駐在員給与の70%を!

余り節約せずともそれなりに金は溜まる。帰国して二年後、生活がある程度落ち着いたので当時人気のあった田園都市線の鷺沼駅から徒歩五分程の所の小さなマンションを購入した。頭金程度にはなったのである。

20代での修業が一先ず終わり、以前にも書いたが31歳で中東に駐在に出た。仕事は多忙で生活も厳しかったが三年半の滞在で住宅ローンを完済する程度の金は溜まった。

それから、35歳で帰国すると驚くほど給与が上がっていた。

当時は、20代の修行に耐えれば、30台半ばでそれなりの年収と一定の経済基盤を持つ事が可能であった訳である。

整理してみると、「大学」は職業訓練には関与せず代って「企業」がこれを担当した。私も含め、当時の若者は別に高い志などなくても、このベルトコンベアーに乗っていれば一定の御利益(経済的な恩恵)の享受が可能であったという事である。

成程! 社長が指摘する様に良い時代であったかも知れない。

今はどうであろうか?

大学は相変わらず職業訓練には消極的である。多分、将来も何もしないであろう。

一方、企業は疲弊しそれどころではない! 人事施策といえば、65歳定年延長への対応であるとか、バブル世代の企業からの引き剥がし(要はリストラ)で手一杯という所ではないのか?

若者に「修行の場」を与える事もなく、且つ、「経済的メリット」もないとしたら有能な人材は集まらない。当然、将来の成果も期待出来ない。日本企業は「デフレスパイラル」の陥穽に落ちてしまった様である。

今一方の問題は若者である。

大学が傍観するのみで、企業が疲弊し、最早「修行の場」を与える事がないのであれば自分自身で何とか工夫するしかない訳である。

しかしながら、私らの時代とは異なり今の日本は豊かである。

私から観れば、大多数の「若者」は自分が今直面する景色を「ぼんやり」眺めている様にしか思えない。

「困った事ですね!」。これが、昨夜会食した社長のコメントである。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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