官民の「垣根」が健全な関係を保つ

2013年02月20日 12:16

原子力規制委員会が東北電力の東通原発の下の断層を活断層と認定した。これで敦賀に次いで東通も廃炉になる見通しが強まった。


電力会社の人に「いつまでこういうでたらめな裁量行政を許しておくんですか。行政訴訟を起こすべきだ」というと、「いや、今後もいろいろお世話になるので…」という。今後どういうお世話になるかは、法治国家ではルール化されているので、訴訟を起こしたかどうかとは無関係のはずだが、日本のように極端に行政の裁量が強いと、こういうことが起こってしまう。

英語に”A hedge between keeps friendship green”ということわざがある。友人とのつきあいに適度な距離があるほうが友情は新鮮になるという意味だ。官民関係も同じで、電力業界のように規制当局と業者の関係があまりにもべったりだと、いうべきこともいえない。官僚も「業者が異議を申し立ててくれれば、こっちも政治家にいえるのだが…」という。

アメリカにもregulatory captureはあるが、こういうべったりの関係ではない。たとえばFCCに行くと、高官の部屋にしょっちゅうtelecom lawyerが出入りしてお茶している。あるときFCCの友人に「彼は局長の親友なのか?」ときいたら、「あれはPacific Bellの弁護士で、この前FCCとの裁判で*百万ドル取った奴だよ」といわれて驚いた。一方では訴訟で巨額の賠償を取る弁護士が、ロビイストとして堂々とFCCに出入りしているのだ。

だから電力会社も、どんどん裁判を起こせばいいのだ。それで不利益な処分をするようなら、行政指導の文書化を求めて問題にすればいい。そもそも敦賀や東通の廃炉処分を認めたら、玄海以外の原発はすべて廃炉になるともいわれる。そうなったら電力会社はみんなつぶれるのだから、これ以上の不利益処分はできない。とことん役所と争っても、失うものはほとんどないのだ。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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