「グローバル脳」と「ローカル脳」

2013年02月25日 08:10

このタイトルを読まれた殆どの読者の方は「何だ?」と思われた事に違いない。


無理もない。「グローバル脳」、「ローカル脳」はこのエントリーを書くために、たった今作成したばかりの言葉である。作りたてで、湯気が出ている状態である。

そういう事なので、「グローバル脳」と「ローカル脳」の言葉の意味について先ず説明させて戴く。

「グローバル脳」とは、自分の身近に起こる色々な現象を世界と結び付けて考える事を習い性としている脳である。

例えば、安倍政権の経済政策の目玉の一つは「脱デフレ」である。これを「グローバル脳」が分析すれば、企業のブラック化はなぜ起こるのか?で説明した通り、「デフレ」は台頭する人件費の廉価な新興産業国に対応した結果であり、必然という理解となる。

日本国内の企業に勤める会社員や労働者の賃金が中国、ベトナム、ミャンマーの労働者の賃金に鞘寄せされ、下に下にと向かって行くのは、水が高い所から低い所に流れる様に極めて自然な現象である。
長々と書いてしまったが、日本企業がアジア新興産業国に「サプライチェーン」の構築に成功したという事は取りも直さず「デフレ体制」を構築したという事である。

一方、「ローカル脳」は日本国内で完結する事をその習慣にしている。

従って、同じ「脱デフレ」を論じたとしても、「デフレ」は解雇規制が強く、雇用調整が進まない結果、企業が余剰人員を抱え込むに至り、その結果「賃下げ」が発生した事に起因するといった結論となる。

断っておくが、私は何も解雇規制の緩和に反対しているのではない。いや、寧ろ日本は解雇規制撤廃に向かうべきだと考えている。

企業に余剰人員を抱え込ませれば、疲弊しやがては破綻に至る。一方、飼い殺し状態に置かれた従業員も何れは社会に出て行かねばならない。再教育を受けるのではあれば早い程良い。

家電業界が向かうべきは「4Kテレビ」の開発ではなくホワイトカラーのリストラでは?で、詳しく説明しているので参照して戴きたい。

それでは、「グローバル脳」と「ローカル脳」の認識の違いと、そこから派生する問題とは一体何であろうか?

例えば、熟れた林檎が林檎の枝から地面に落ちたとする。

風が強かったので林檎が落ちた。

小さかったが地震があった。揺れた結果林檎が落ちた。

林檎は熟れており落ちて当然。もっと早く収穫すべきであった。

こういった解釈をするのが「ローカル脳」である。決して間違っていないし、「風」、「揺れ」、「熟れて真っ赤」など五感に訴えるので読者の理解を得やすい。

一方、「万有引力」により林檎は落ちたと説明するのが「グローバル脳」である。

物事の本質を突いているが、如何せん抽象的である。

日本で生まれ、日本で育ち、日本しか知らない典型的な日本人に訴求するのは骨が折れる。

しかしながら、昨日、日米首脳会談を終え日本は何処に進むのか?で説明した通り、今後日米は手を携え「アジア・太平洋」を平和と繁栄の海とするのを最重要戦略とする事になる。

従って、日本の若者の働き場所も、日本を出て「アジア・太平洋」地域という事になる。

その際、日本では通用したかも知れないが(何故なら周りに日本人しかいないので)、海外では「ローカル脳」は通用しない。

日本を一歩出たら、自分の身の回りに起こる出来事の本質を洞察し、最善の対応を考え、考えた結果を自分が関係する人達に説明せねばならない。その際、大事な点は常に「普遍性」を意識する事である。

今後、「ローカル脳」によって書かれたと思われる記事や著作に遭遇したら、先ず著者の学歴、職務履歴を確認する事をお勧めする。大概の場合、日本で生まれ、日本で育ち、海外留学・海外勤務を経験していないと推測する。

「ローカル脳」が書いたものを、多くの日本人は読み易い、理解し易い、結果判った気にしてくれるので、読んでいる。

しかしながら、実際は時間の無駄に過ぎず、暇潰しと割り切るならば兎も角、読むべきではないだろう。

山口 巌 ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役

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