金融緩和の「果実」を広く波及させることが肝要 --- 岡本 裕明

アゴラ

黒田日銀総裁体制の政策会合の発表は予想をはるかに上回るものでした。市場も予定より1時間ぐらい遅い発表に即座に反応し株価も打ち上げ花火常態になり、為替も2円ぐらい動いています。私の予想は外れましたが、日本全体がハッピーになっている気がします。


ステートメント等を見る限り、エース級のカードをまずはじめに切った、ということに見えます。ただ、まだ、利付撤廃などカードは残っているので今後も継続的にカンフル剤を打ち込むように思えます。とすれば日本が向かうのはミニバブルの形成でしょうか?

90年代初め、バブル崩壊後、日本でミニバブルを作ったらどうか、という議論がありました。しかし、当時は金融機関をはじめ、企業の体力がなく、それ以上にバブルに対する嫌なイメージが先行していたため、それがおきることはありませんでした。しかし、考えようによってはアメリカFRBも不動産バブル崩壊後、金融緩和を通じて株価を持ち上げ、ひいては住宅市場を回復させたと考えればこれは形を変えたミニバブルであるともいえるのでしょう。

日本がデフレ脱却をミニバブルを形成することで乗り切るのは確かにひとつの対策にはなるでしょう。特に心理的効果は大きいと思います。不動産も都内はかなり動き始めています。よってそれらの値上がりが一般に周知されてくれば更に価格上昇のサイクルに入る可能性は高いと思います。

ただ、気をつけなくてはいけないのはこの金融緩和による潤いが国全体に浸透することが重要です。日本が格差問題などで二極化していることを考えると上のグループはこれによる恩恵が大いにあると思いますが、下のグループにどうやってそれをつなげていくか、そこがポイントになると思います。

またインフレも悪いインフレといわれるスタグフレーションになる公算もありますのでこのあたりを日銀のみならず政府が大いにバックアップし、短期、中期、長期と構造的改革を進めていただきたいと思います。

今日は短いですがこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年4月6日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。