日本企業が日本に愛想を尽かす日

2013年04月09日 14:49

「異次元の金融緩和」だけでも充分に日本の将来を危うくすると危惧している。


にも拘わらず、ここに来て自民党が「桃太郎の鬼退治」ならぬ、「自民党のブラック企業退治」に乗り出すのだそうだ。

こんなもの、とても「政策」と呼べる代物ではない。飽く迄、夏の参議院選挙用の「人気取り施策」に決まっている。とはいえ日本を間違った方向に導きそうなので、今後の起こり得る展開を予想してみる。

先ず第一に、「ブラック企業とは何か?」みたいな定義の厳格化は「票」を呼ばないので無視される事になる。

矢張り、日本人の琴線に触れる「勧善懲悪」でシナリオを書く事になる気がする。

「離職率の高さ(しかも、鬱を患って)」、「多過ぎるサービス残業時間」、個人の人格を無視した「追い出し部屋」辺りで落ち着くのではないのか?

最初の二項目に関していえば、今や日本を代表するヒールは嘗ての和民を追い抜いてユニクロだと思う。

後者についていえば、多分日本の家電製造業は各社似たり寄ったりであろうが、昨年大晦日の朝日新聞特集が衝撃的であったので、取敢えずPanasonicという事にしておく。

問題は、ユニクロやPanasonicが行政指導に素直に従うか否かである。

両企業とも、何もやりたくてやっている訳ではない。企業存続の為には避けて通れないから断腸の思いで断行している訳である。

従って政府が改善を強要すれば、両社に残された道は「廃業」か「海外移転」何れかの二者択一となる。

ユニクロはアパレル業界に属し、一方、Panasonicは家電製造業のリーディングカンパニーである。両者に接点はない様に見受けられるが、実は共通する施策がある。

採用する新卒の八割以上が外国人という斬新な施策である。

両社広報室の公式コメントにある通り、何も急に増やした訳ではなく、以前から少しずつ増加させた結果がこの数字という事である。

事実、パナソニックについては既に実に堅実に国内工場の海外移転を進捗させつつある

こういう状況で安倍政権が参議院選挙での人気取りに眼が眩み、両社に「改善計画」提出強要の如き暴挙に出れば、政府がそういう事ならと、さっさと海外移転計画を前倒しで進めるのではないだろうか?

「異次元の金融緩和」で土地の流動化が加速し、工場跡地の売り抜けも随分と容易にはずである。そして、結果として、企業の海外移転を資金面で後押しする事になる。

この結果、日本から多くのブラック企業が消滅する事になる。自民党、安倍政権に取っては、さぞかし「してやったり」という事であろう。

問題は、「ブラック企業」だけでなく「雇用」がなくなってしまう事ではないのか?

「政府」や「行政」が余りバカな事をやっておれば、企業は愛想を尽かしさっさと海外に脱出してしまう。

それでなくてもシンガポールの法人税の最高税率は日本の実効税率、39.54%の半分以下18%。しかも、多くの優遇制度があると聞いている。

近い将来、ユニクロやPanasonicの本社がシンガポールに移転しても少しも不思議ではないのである。

その結果、日本に残るのは、公務員、年金頼みの高齢者、生活保護受給者となる。安倍首相が大好きな言葉「美しい国、日本」とは、真逆の状況、風景であろう。

山口 巌

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