ようやく文春の番が回ってきた村上春樹の新作小説

アゴラ編集部

出版界は電子書籍の荒波にもがいています。そんな業界でも話題なのがアナログの本、村上春樹氏の新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』。版元は文藝春秋です。前作の『1Q84』シリーズが新潮社。村上氏自身は『群像』出身だから講談社から出すことが多かった。『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』あたりから他出版社でも出すようになったんだが、文藝春秋とは『1973年のピンボール』が芥川賞候補になった前後から関係が深まったようです。その後は各出版社の取り合い状態。アゴラ出版局でも喉から手が出るほど欲しい著者です。おいおい、大手出版の持ち回り裏契約でもあるんじゃないか、と邪推してしまいそうです。次作はぜひアゴラ出版局から出してください。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年


しかし今回の作品はタイトルが長いし、そんなにシャレてもいません。この「虚構新聞」では、長過ぎて覚えられないから略称を募集と書いている。最近のライトノベルにならって略称は『をたないつくると、のの』というタイトルになるらしい。もちろん「虚構」です。

表題のブログでは、ネット時代でも「書評」というジャンルが再評価されるんじゃないか、と書いています。多種多彩で膨大なコンテンツが「本」という商品の特徴で魅力でもあります。どんな小さな版元の少部数の本でも、そこに何らかの価値を見出す人がいる。大手版元で大部数のベストセラーからマニアックな希少本まで、これほど好みの違いが現れる商品もないんだが、自分で自分の好みの本を探せない人も昔から多いんですね。

でまあ、個人的に今回の村上氏の新作については、どれだけエロ描写が隠されつつ淫猥に卑猥に描かれ、オシャレなOLさんたちが恥ずかしくなくオシャレな装丁の本書を書店のカウンターへ持って行ける内容になっているのか、に興味があります。
Handmede Future!
書評ブログがトレンドになる可能性|“本を推薦できる人”の存在価値が高まっている


リーダーシップが滅ぶ時代
千秋日記
そういえば日本でも「リーダーを養成する」なんて趣旨で作られた全寮制の中高一貫校がありました。一期生が大量に東大へ入って話題になった。東大卒がリーダーになるか、と言えば今どきそんなことをイメージする人間は少ないでしょう。このブログによれば、米国でもリーダー養成ビジネスが隆盛を極めているそうです。リーダーは「養成」してできるもんじゃないと思うんだが、学歴格差や情報格差がなくなり、リーダーがいなくても大丈夫になった、という話です。そういえば、東大卒の価値が下がるのと政治家や官僚、大企業の価値が下がるのはどうもパラレルに起きている現象のようです。

好みの記事を選んでくれる、だけじゃない。ネットと人を 優しく繋げる「グノシー」【開発者さん いらっしゃい】
TABROID
やだなぁ、ほらドンドンこんなものが出てきます。キュレーションなんてマシンが自動化してやるようになる。当コーナーも遠からずマシンが書くようになるでしょう。それにしてもグノシーで出てくる記事は、かなり偏りがあります。そのために「ワード site:gunosy.com」で自分の好きな単語を検索、リンク先を登録、というワザがあるらしい。なにやらネット上で話題です。

『Twitter』上で在日コリアンに浴びせられるおぞましい暴言の数々 法的取締りも?
ガジェット通信
一部おかしな連中による在日外国人への「ヘイトデモ」が続いてるようなんだが、ネット上でもバカがつぶやいたり暴言を吐いたりしています。某巨大掲示板に棲息する差別主義者連中は、昔からはびこってました。その「2ちゃんねる」の特定スレッドへのanonymous(?)の攻撃が発表されたりしてあちこちに狼煙が立ち上っていて香ばしい。この記事では、Twitter上で自国を自らおとしめる連中について書いています。在日同士で罵りあってる、というヤラセ疑惑も消えない中、東アジアの民族間に横たわる感情的な軋轢を政治的に利用しようとする連中もいるようです。

Facebook上の数多い“友達”は、リアルな少数の友達にはかなわないと判明:英大学
IRORIO
当たり前のことをキチンと調査し、数値化して証明する、というのが研究者の役割の一つです。この研究では、SNS上の友だちとリアルな友だちを比較する、ということをやったらしい。リアルな友だちとのコミュニケーションのほうが、笑ったり多幸感を感じたりする度合いが大きい、という言われてしまえば当然のことがわかった、ということ。親しい友人はせいぜい10人くらいでいいそうです。

メタンハイドレートの化学
化学者のつぶやき
ハイドレードじゃありません、ハイドレート(hydrate)です。よく間違った表記がマスメディアでも使われてたりして恥ずかしい。このブログによると「ハイドレート」とは「水和物」というシロモノらしい。ようするに水の分子を含む物質。水分子の数によって「一水和物」とか「六水和物」とか言われます。で、水はH2Oで水素Hと酸素Oの水素結合になってます。Hが二つでOを挟んでいる。水が固体になった氷も同じ。水素結合でできた分子の間はけっこう隙間があったスカスカらしい。そのスカスカな氷の分子の隙間に、いったい何が入るとメタンハイドレートになるのか、という話です。そういえば「千葉石」というものがあり、荒川あたりで見つかる石です。千葉石はSiO2(二酸化ケイ素)で、その八面体の結晶格子の中にメタンやプロパンなんかを含んでいる。氷の分子の中になんぞを入れとるのと同じです。

福島第一原子力発電所地下貯水槽からの水漏れについて(続報33)
東京電力プレスリリース
東日本大震災で事故が起きた福島第一原発で、冷温停止にする汚染水を貯蔵するための貯水槽から水漏れが発見され、連日のようにニュースで取り上げられています。核燃料を冷やすために原子炉を通した水なので高度に汚染されているわけなんだが、本来はグルグル循環されていて量が増えないはずが、地下水などが流入してるのか量が増えています。その増えた分を取り出して貯蔵しなきゃらなりません。地下水の件は事故からしばらく問題になってました。それが2年経っても解決できてないんですね。表題のリリースでは、福一での水漏れについて最新の状況を説明しています。この塩素濃度、というのが重要のようで濃度が高いと水漏れの可能性がある、ということらしい。東電は信頼性の低い地下貯水槽から地上に設置した貯水タンクへ移し替えを進めています。しかし、貯水タンクの容量には限界がある。地下も含めた貯水槽で、いったいどこから水漏れしてるのか原因を突きとめ、一刻も早く漏れない入れ物を作るしかありません。

見逃すかもしれないくらいに小さな作品です。眼を凝らして見ると小さく繊細な建物や電気塔が見える。すごいね!
坂井直樹のデザインの深読み
極大への憧れと極小への憧れは共通のようです。この宇宙はひょっとすると巨大な生物の細胞のごく一部かもしれない、なんて子どものころによく考えたもんです。曼荼羅のように極大は極小であり極小は極大でもある。このブログで紹介されている作品は、どんだけ小さいのか、ちょっと実物を見てみたい。作者のサイトによると小さいものだけ作ってるんじゃなさそうです。

福島県内における大規模な内部被ばく調査の結果
東京大学大学院理学系研究科・理学部
原発事故直後からTwitter上で注目を集めてきた東大物理の早野龍五教授らが、福島の人たち3万人以上に対し、内部被ばくを計測するホールボディーカウンター(HBC)で測定、その結果を報告しています。これによると2012年の秋の段階で福島県三春町の小中学生に放射性セシウムの検出限界以上の児童は一人もいなかったそうです。この調査では、とりわけ安全そうな人ばかり計測してる「サンプリングバイアス」の疑いが払拭されたことが大きい。ようするに、福一の事故で出た放射性物質については、これまで考えられていたよりヒトに対する影響はずっと少ないのではないか、ということです。

新ジャンル「オタク油絵」は広まるか 専門店「ギャラリー絵顔」オープン
ねとらぼ
これは新しいビジネスです。村上隆氏によって日本のオタク文化が「アート」になったわけで、日本中にオタクな画家がたくさんいます。それらを「中国で油絵に描き直す」というのがこの商売のキモ。高度成長期から日本のウサギ小屋を飾ってきた「一枚の繪」にも似た発想で、なかなかツボを心得ています。中国の富裕層の邸宅へ行ったら、セーラームーンの油絵が飾ってあっても驚かないようにしてください。


アゴラ編集部:石田 雅彦