世界に誇れる日本企業といえば?

大西 宏

20~50代のビジネスパーソンと60代の男女1000人に、「世界に誇れる日本企業」聞いてみた結果が発表されていました。1位にトヨタ自動車というのは順当なところでしょうが、回答の2位になっているのがなんとソニーです。本業はあいかわらず赤字で、資産売却とか金融などの事業でようやく黒字というソニーがいまだに「世界に誇れる日本企業」に選ばれるのは驚きです。また3位のホンダにつづいて第4位にパナソニックが来ていますから、ブラックジョークかと感じる意外な結果です。過去の栄光の残像がまだ残っているということでしょうか。
Business Media 誠:世界に誇れる日本企業といえば :


アンケートをしてみて、ソニーやパナソニックが「世界に誇れる日本企業」ランキング上位に入ってくるということは、過去の栄光のイメージのスイッチを一般の人までまだ切り替えることができないままなのか、あるいは他の企業をノミネートしたくとも回答できる企業が思いつかない状態なのかもしれません。

ノミネートできる企業が思いつかないということであれば無理もありません。今、元気な企業は一般の人には馴染みの薄い、部品や素材、また製造装置などの分野の企業が多いからでしょう。
それを象徴している記事がありました。日経が、13年3月期の純利益が50億円以上の企業について、14年3月期の予想純利益の前期比増加率をランキングした結果を載せていますが、トップの任天堂は以前が悪すぎたということがあると思いますが、日本の強みといわれる部品や製造装置、自動車関連の企業が上位に並んでいます。2位の日本電産や3位の東海理化も部品会社です。
上場企業の予想増益率、部品・装置・自動車が上位 14年3月期 :銘柄レーダー :企業 :マーケット :日本経済新聞 :
ただこういった企業はブランド化が難しい縁の下の力持ち企業です。もちろん地味な産業でもいいのですが、自らが最終市場を創造し、育てているわけではないので、納入先の企業、あるいは対象としている産業の浮き沈みに影響を受けやすいことが気になります。

また調査結果で、「世界に誇れる日本企業」に重視するイメージでは、「技術力」(62.6%)と答えた人が最も多く、次いで「製品・商品の品質」(52.5%)、「世界シェア」(35.8%)、「安定性」(30.8%)、「誠実さ」「独創性」(いずれも28.7%)と続いていますが、まだまだ「ものづくり」の片肺飛行で世界市場を席巻できた時代の価値観が根強く残っていることを感じます。とくに「技術力」や「製品・商品の品質」に比べて「独創性」があまり高く重視されていないことは残念なことです。

またGEが世界25市場、3100人のシニアエグゼクティブを対象に行った調査でも、日本の経営層は、ノベーションへの取り組みが世界と比べて著しく消極的な姿勢が明らかになっていることも同じ傾向傾向なのかと思います。
GEの世界イノベーション調査:世界からの期待は4位も「非常に残念な結果」と米倉誠一郎教授 |ソフトバンク ビジネス+IT :

消費者向けであっても、企業向けであっても、最終製品や最終サービスで競争力を持つブランド企業がもっと元気であれば、いいバランスになるのですが、それを牽引する産業が育てることが日本の競争力の鍵になってきます。そのための鍵は「独創性」であり、独自の製品分野を創造していくことになってきます。日本の成長戦略としても、「独創性」が高く評価される文化づくりが大切になってくるのではないでしょうか。