ヤフーは、なぜ15期連続増収増益の社長が退任し、「爆速」するのか? --- 内藤 忍

2013年05月10日 08:01

昨日お会いした安宅さんが執行役員をされているヤフー。どんな会社なのかとても気になっていたのですが、今週号の週刊東洋経済(2013.5.11.号)の第2特集に、爆速ヤフーの突破力という記事がありました。

ポータルサイトとして圧倒的な存在感を示し、16期連続の増収増益を遂げている超高収益企業。社員が5000人もいる大企業なのに、ベンチャー企業も真似ができないような想像的破壊を急激なスピードで進めています。


昨年の3月に15年増収増益を達成している井上社長が退任。しかも会長職などに就かず、経営から完全に手を引きました。そして経営陣を刷新して、役員の平均年齢を53歳から41歳に若返らせる。

しかも、社長退任の理由が、社長がSNSを使ったことがなく、携帯もカバンに入れたまま。そういうものを使いこなす若い人にバトンタッチするのが良いという極めてシンプルなもの。

日本の伝統的企業では考えられない潔さです。

ヤフーの「爆速」のこの1年を見ると、単に新しいことを始めているだけではなく、明快な経営方針があることがわかります。

1つは、企業としての存在意義の再定義をしていることです。「課題解決エンジン」と自らを定義して、今までのビジネスを整理したことです。お客さんに対して、いい課題解決を提供することによって利益が生まれるという意識を持ってビジネスを展開しています。

そして、約150あるサービスのうち、利益の90%を稼ぎ、圧倒的な強みを持つ25の自社サービス以外は他社と提携するという「オンリーワン戦略」を取っています。アスクル、ローソン、クックパッド、グリー、DeNAといった企業と提携して、外部の強みを活用し、さらにFXビジネスではサイバーエージェントから子会社を買収。金融ビジネスにも乗り出しています。わずか1年でここまでの展開力は信じられないスピード感です。

また、今までのパソコンでの圧倒的な成功に甘んじることなく、「スマホファースト」を掲げ、CMO(チーフモバイルオフィサー)というスマートフォンネイティブなビジネスを集中して進めていく。

人事評価もユニークです。詳細はわかりませんが、バリュー評価という仕組みを導入し、「課題解決」「爆速」「フォーカス」「ワイルド」という4つのバリューに対しての到達度を評価する方法とされています。これも半年間で導入という爆速です。

とにかく圧倒的なスピード感が外部から見ていても何だか爽快感を感じるくらいです。現場では混乱もあるのかもしれませんが、成長している組織というのは混乱を超える価値が次々生まれていくので、方向性さえ間違っていなければ、スピードが解決してくれることが多いのです。

社長の宮坂さんが「前期比111%を7年連続で達成すれば、利益は2倍になる」と語っていますが、そんなレベルでは到底納得しないような成長欲求を感じました。

成長に対するモチベーションはどこから生まれるのかは、記事からは見えませんでしたが、新しい価値の提供によって世の中を変えたいという大きな目標が根底にあるように思いました。会社の儲けとか自分の収入といったものを超えた、ビジョンなしにはここまでのリスクを取れるとは思えないからです。

成功体験に甘んじることなく、さらに大きなリスクを取って社会に「!」(驚き)を提供していくチャレンジングな試み。1999年にマネックス証券が設立された時に感じたような、時代を動かす可能性を感じます。

執行役員のインタビューで金融事業について「ネット屋らしい金融をやりたい」と語り、「将来的には、たとえばヤフオクで得たおカネを株式投資に回す導線も考えている」というコメントがありました。

爆速から取り残されている日本の金融界にも驚きを提供して欲しいと思います。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2013年5月10日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。


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