日本が出遅れた3Dプリンター技術は挽回できるか

MATSUMOTO Kohei Ph.D.

昨日NHKスペシャル メイド・イン・ジャパンII(2)新成長戦略 国家の攻防 を拝見しました。この中で小生が注目している3Dプリンターの話題がありました。本番組はタイトル通り、それも含めて日本の未来をどのようなストラテジーを持って行動するかを話し合う番組です。内容は以下のとおり:


メイド・イン・ジャパンの逆襲のため、国はどんな政策を打ち出し、企業の支援をすべきか。シリーズ第2回は「国家同士の攻防の現場」に迫る。戦略を練る経済産業省などの官僚に密着。「第2の産業革命」としてアメリカやドイツが国を挙げて力を入れる3Dプリンターをめぐる戦略、半導体をめぐる韓国や台湾などとの競争、中小企業のアジアへの進出を支援する動き、ベンチャー育成の政策などを徹底取材。競争に勝つシナリオを探る。(NHK HPより)

前半で3Dプリンターの話が出て来ました。アメリカやドイツの国家プロジェクトや先見的な事例を出しながら一方で日本はいかに立ち遅れているか、そしてその遅れを挽回するべく、官主導でその模索をしている姿を描き出していました。良くも悪くも日本は一次的な発明は集団主義的な発想では非常に弱い事は否めません。その代わりその集団主義の強みを生かしてその応用が得意な国です。官主導というのがなんとも残念な気がしますが、このような、1960年頃から続くこうした流れはこの国ではまあしょうがないのかなと、半ば諦め気味に受け取るしかないのでしょうか。

しかしながら、それでもベンチャー的なイノベーションは今後必須、いや一度は世界一まで上り詰めた日本としてはそのイノベーションはこれからの社会、世界にとって責務と考えます。いつまでも過去に固執した職人気質では(過去にこのような事例はいくらでもあるので申しませんが)、いつかの時代に逆戻り、変化のない歴史を繰り返すこととなり、これでは日本の未来は築けないでしょう。

本技術の挽回策として、厚労省と経産省(だったでしょうか、うろ覚えなのでご指摘ください)とタッグを組んで、省庁横断的に3Dプリンター技術をこれまでの職人が手作りで制作してきた鋳物等の製作技術にプラスしてアイデアを上乗せしようというアイデアが取り上げられていました。これは自然な成り行き、アイデアで良いと思いました。とはいっても3Dプリンターに仕事を取られては元も子もないので、今後はこれに付随していかに雇用を生み出していくかに懸かっているのでは、と考えます。

良くも悪くも日本は資源も乏しく、生真面目さと頭脳で勝負するしかありません。従前どおりの集団主義の強みを活かすも良いとは思います。しかしながらこの番組での後半でも述べられていたように、ベンチャー企業に関するバックアップなど、これからは個も活かすこうした技術を失敗を恐れずに生み出す、また周りも排除をせずに(出る杭を打たない、これが難しいことですが)、お互いに好奇心を持ってこうした頭脳を見守って育てることも重要であると思いました。

松本公平(MATSUMOTO Kohei Ph.D.,Geoscientist)
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