日本のベンチャーすごいですね --- 岩瀬 大輔

アゴラ

札幌で開催されたIT系ベンチャー経営者の大型会議、 IVS (Inifinity Ventures Summit) にて、ニューヨーク在住の女性起業家がつぶやいた。

「日本のベンチャーすごいですね」

イベントの目玉企画は、新商品サービスを1社6分でプレゼンしていく “Launch Pad” 。ちなみに参加者の中でも「ランチパッド」と発音されている方が多いですが、「ローンチパッド」が正解だと思います。豆知識。


今年も12社の気鋭のベンチャーがプレゼンテーションを行った。詳しくはこちらのレポートを読んで頂きたいが(必読)、印象的だったのはすでに立派な実績があり、ビジネスモデルもかっちり見えている事業が多かったこと。

見事に優勝を果たしたのが全自動のクラウド会計ソフト「freee(フリー)」。銀行やクレジットカード会社のウェブサービスと連動することで、自動で財務諸表を作成し、確定申告書まで作成してしまうというもの。多くの小さい会社が抱える「経理どうする」という悩みを解決してくれる。すでに3400もの事業所で利用されているとのことだ。

ちなみに社長の佐々木大輔さんが終わってから声をかけてくれたのだが、高校の後輩とのこと。大輔&高校繋がりだ。今後が大きく期待される。投資家としては将来は米Intuit 社か弥生会計に売却という明確なエグジットが見えそう。

個人的に面白いと思ったのは、スマートフォンチケット「tixee」。なんか「いー」って伸ばす社名が多いですね。「やふー」みたいな「うー」の時代から、「いー」の時代に移ったのだろうか。チケットのマーケットプレイスはよく見かけるのだが、同社は実際にスマホ上にeチケットを発行し、かつ窓口でスワイプすることでチケットを切る処理などをできるようになっている。ネットらしさだけでなく、ポータビリティというスマホらしさをめいっぱい活かしていていい。ミスチルのコンサートやサマンサタバサ主宰の女性ゴルフトーナメントでの採用実績あり。

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「プレゼンがもっとよかったら……」とやや残念だったのが、4位に終わった「お金の次世代ポータルサイト─マネーフォーワード」。辻庸介さんは前職のマネックス時代からの友人で、ずっと応援している。私も使っています。事前に銀行口座やクレジットカードの情報を登録しておくと、自動的に同期してくれて、自分の資産状況を見れるというもの。米国では Mint.com という類似のサービスが1200万以上のユーザーを獲得した。プレゼンは「便利なユーティリティツールだな」という印象は当てるものの、「これで世界がこう変わる!」というビジョンとワクワク感がいまひとつだった。自分のプレゼンをする際にも気をつけようと思った。

このローンチパッドには何年も連続して出ているが、日本にも有望なベンチャーが増えているという手ごたえを強感じる。この流れが加速化することを期待したい。


編集部より:このブログは岩瀬大輔氏の「生命保険 立ち上げ日誌」2013年5月25日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿を読みたい方は岩瀬氏の公式ブログをご覧ください。