アメリカ西部の水資源危機

2013年05月28日 18:56

昨年、アメリカは史上最悪とも言われる干ばつに見舞われた。 

昨年の干ばつは、トウモロコシなどの穀物価格の高騰を招き、穀物価格の高騰は、世界の貧困層の生活を追い詰めた。 エジプトが小麦、原油の支払いでクレジットクランチに陥ったことは記憶に新しい。  

ところが、アメリカの干ばつは依然として続いている

drmon


ここでは、アメリカ中西部の水資源危機が、一時的なものではなく、中長期的な問題であることを指摘し、既に気候変動の問題は、我々に差し迫った問題を突き付けていることを指摘したい。。

コロラド川の水量低下とミード湖の水位低下

ミード湖(Lake Mead) は、アメリカ最大の人造湖で、フーバーダムによってコロラド川を堰き止めて作られ、ダムの上流180キロメートルまで伸びている巨大な人造湖で、設計上は約35立方平方キロメートルの水を湛えることができる。

しかし、そのミード湖の水位が著しく下がっている。 2000年の水位に比べ、130フィートも低いという。 これは、コロラド川の水量が、40年前の約半分程度に落ち込んでいる一方、灌漑、生活用水などへの水の使用量が増加しているためである。

現在ミード湖の水位は海抜1,116フィートの位置にあるが、2015年の4月までに1,086フィートに下がると予測されている。この水位が1050フィートを下回ると、フーバーダムは発電できなくなるが、これは早ければ、4年後のことになる。 またラスベガスに水を送る取水口をさらに低い位置に新設する必要があり80億ドルの費用が必要だという(Another dry winter could push Lake Mead lower)。 

U.S., Mexico: The Decline of the Colorado Riverによると、コロラド川の水は、アメリカの農産物収穫の15%の灌漑に使われており、特に、カリフォルニア南東部の農業地帯の唯一の水源になっている(カリフォルニア南東部は、年間雨量が3インチしかなく、灌漑することなしに農業は不可能である)。 またコロラド川はフェニックス, ツーソン, ロサンゼルス, サンディエゴ、ラスベガスなどの都市の生活用水の半分以上を支えている。

簡単に言えば、コロラド川はアメリカの西半分に水を供給している主要な河川であるが、その流量は、40年前の約半分程度まで落ち込んでいる。現在、コロラド川の水は徹底的に利用されており、河口から50マイル上流のところで、川は干上がっている状態であり、コロラド川の水量低下は、そのまま水資源の減少に直結している。

ナショナルジオグラフィックの記事:Drying of the Westによると、20世紀は、アメリカ西部が最もウェットな世紀、つまり降水量の多い世紀であり、そのため、水をふんだんに使って、アメリカは経済発展してきたが、それが現在、平常に戻りつつあり、さらに、温暖化による、乾燥、降雪量の減少が、水資源の危機をもたらすという。 

記事によると、既に気候変動により、現在、我々が目にしている、樹齢数千年のセコイアの森といった自然環境は、消えゆく運命にあるという。毎年のように繰り返されているアメリカ西部の大規模な山火事は、その象徴である。

元々、アメリカ西部は、砂漠状の荒地であったところを灌漑して農地にしたところが多く、水資源が枯渇すれば、人は住めなくなる。 

例えば、フーバーダムが発電できなくなれば、ラスベガスの使用する電気の80%が失われ、生活用水も失われる。何らかの対策を立てなければ、ラスベガスは廃墟になるだろう。 また、カリフォルニアの水源、シェラネバダの降雪が減っているが、このことは、カリフォルニアの水資源危機に直結する。 夏の雨量が期待できないカリフォルニアでは冬季のシェラに降る雪の減少は死活問題なのだ。 

グレートプレーンの地下水枯渇問題

テキサス、カンサスなどアメリカ中部の農業地帯は、世界最大級の地下水資源、オガララ帯水層 からの地下水の汲み上げによる灌漑によって、農業を行っている。 しかし、地下水の涵養量を遥かに超える汲み上げを続けた結果、地下水位が著しく低下し、一部では井戸が枯渇し農業が出来なくなった地域も出てきている。 ニューヨークタイムスの記事:Wells Dry, Fertile Plains Turn to Dustにその惨状が書かれているので、是非お読み頂きたい。 アメリカの農業の基盤が揺らいでいる。

世界のパンかごの危機

以上のように、アメリカの農業は、水資源の枯渇に瀕しており、今後も干ばつの影響を受けやすい状況は続き、中西部では、ダスト・ボウルと呼ばれる砂嵐による土壌流出が続くものと思われる。 

世界のパンかご、と呼ばれる、アメリカの農業地帯の危機は、食糧価格の高騰を通じて、世界の食糧危機を惹起する可能性が高い。勿論、このことは海外に食糧の大半を依存する日本にも深刻な影響を与えるだろう。
  

現在の世界人口は、到底持続できない。世界各国は協力して、人口削減計画の立案に着手すべきだ。 今世紀末までに、現在の10分の1の規模まで人口を削減する計画を立て、実行すべきだろう。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑