ビッグデータはバズワードの対象ではなく

MATSUMOTO Kohei Ph.D.

本主張はアカデミアからの視点であり、確実に少数意見です。しかしながら昨今のビッグデータ(言葉自体も含め)の扱いを通して日本の教育システムやサイエンスに対する考え方等が垣間見えてしまったので、敢えて向かい風の中述べたいと思います(本寄稿は概論なのでファイナンス各論は他の方にお任せします)。


日本では2011年頃からこのビッグデータという言葉の出現以来、これは使えるかもしれないという希望的観測、それと同時に懐疑の目、また何かよくわからず結局バズワード化、というような様々なリアクションが現在までに出てきました。

しかしながらこのビッグデータ、あくまでデータの集合体であります。この羅列がなんぼ儲かるのだ?得られた結果に対してそれは机上の空論だ、と言った思考ではあまりに短絡的過ぎであると考えるのですが、今後もバズワード化すべきでしょうか?それともバズワードとはならず経営者の皆様が今後活用できていくのでしょうか?

日本の大学に入学しても在学中遊び倒して研究とはいかなるものか、学問とは、を反芻せずに卒業した、そういう人間がほぼ半数くらいはいるでしょう。そして就職についてはスキルスペシフィックではなく遊び倒したような人間が採用されます。体育会系もしかり。上官の都合よくイエスマンであればよいわけです。そして端的な一例ですが、その彼ら、彼女らが飼いならされ思考停止した後に運悪く?その担当になった一部の人間がビッグデータアナリティクスについて何かを語ろうとした時に、「バズワード」となるわけです。2012年の調査では中小含めて8割超はビッグデータに静観or関心を持っていません(1)。

ビッグデータアナリティクスは別にビッグでなくとも構いません。何処にでもあるほんの些細なデータからある普遍性を見出す、すなわち学問や研究と同じです。これが自然現象なら科学、サイエンスです。ビッグデータはそれが時代に即してあらゆる情報が蓄積されたから、にほかなりません。このことは下記SASの参考記事とエクイヴァレント(2)、ビジネスであると同時に学問や研究の真髄の概念と同等です。勿論ビジネスにコミットできなければただの数値羅列なのですが、同時にサイエンスであるからそのリスクも理解するべきです。

大学で学問、研究とは、科学、サイエンスとは、に対して真摯に向き合わなかった上記の学生が企業に入り、その、「~とは」の真髄とも言えるデータアナリティクス、活用の可否もわからずビッグデータをブラックボックス化、バズワード化するのも当然です。最近のビッグデータ関連の記事に関する一部のメディア、企業人、世間の反応を見ると残念ながらその迷走ぶりが伺えます。つまりデータをサイエンティフィックに評価する、という部分がすっぽりと抜け落ちているのです(3)。

以前の拙記事でも述べましたが、ここで余剰となっている大変貴重な財産、ポスドク、Ph.D.サイエンティストを積極的に参画させる世の中に変えるべきです(4)。彼女ら、彼らは一般的な企業人に比べて、研究に対する方向性、すなわち追究すべきアナリティクスの新規性の評価、データサンプリング(調査)手法、結果の妥当性、求めるべき方向性とそのディスカッション、得られる結論のレポーティングなど含め一般企業人に比べはるかに高い洞察力を備えています。後はPh.D.サイエンティストのビジネスセンスに対しては適宜補いながら(センスゼロはまずいですが(5))、ゆくゆくは彼女ら、彼らにリードさせてもよいのではと考えます。

ビッグデータはビジネスとサイエンスの融合可能な領域、対象であり、バズワードではありません。そして今後は体育会系思考から論理的、サイエンス思考へ、舵を切るべきと主張します。

参考記事:

(1) ガートナー ジャパンが国内企業を対象に実施:ビッグデータ意識調査、過半数の企業が“はやり言葉”と認識 – http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1305/14/news053.html

(2) アナリティクス すべての意思決定に、サイエンスを。 | SAS Institute Japan 株式会社 http://www.sascom.jp/start-analytics/index.html

(3) データを「科学」しないならデータ「サイエンティスト」でなくても良いのでは? – 道玄坂で働くデータサイエンティストのブログ http://tjo.hatenablog.com/entry/2013/06/02/172127

(4) ビッグデータ・マイニングにポスドク採用を | Scientific-Global.net http://scientific-global.net/ビッグデータ・マイニングにポスドク採用を/

(5) 21世紀で最もセクシーな職業!?「データサイエンティスト」の実像に迫る http://www.slideshare.net/takashijozaki1/21-21583073

松本公平(MATSUMOTO Kohei Ph.D., Data & Geoscientist)
Scientific-Global.net

(データアナリティクスと啓蒙活動で、サイエンス思考をすべての人に)