ニュースの未来を変えるかもしれない、3つのテクノロジーから見えるもの

村井 愛子

最近はニュースに関するテクノロジーサービスの話題にこと欠きません。主要なニュースメディアであった新聞・テレビのあり方が変わってきていることも関係があるのかもしれませんが、いくつかのテクノロジーを見ることによって、将来像を探ってみたいと思います。


1.ニュースを最適化配信するGunosy
既に話題になっていますが、Facebook、ツイッターといったソーシャルツールのアクティビティから個人の趣味嗜好を読み取り、興味があると思われる記事をメールで配信してくれるサービスです。2013年の2月の時点で既にユーザー数は9万名に達しているといいます。
http://gunosy.com/

2.ニュース記事を要約してくれるSummly(サマリー)
アメリカの16歳の少年が開発し、その後Yahooo!に買収されたことで話題になったアプリです。ニュース記事を自動的に500字に要約して表示してくれます。買収後1カ月足らずで要素技術がYahoo!のアプリに搭載され、現在は米国のYahoo!アプリ内で見ることが出来ます。

summly
ニュースを自動的に要約したテキストが表示される


3.動画の内容を自動的に書き起こすログミー

これは出来たばかりのサービスのようですが、動画の内容を自動的にロボット書き起こすというものです。ニコ生の討論などが書き起こされており、記事を読んでいても非常に興味深いです。ツイッターで「本当に全部自動ですか?」と聞いてみたら「自動デス」と返ってきました!
http://logmi.jp/

この3つのサービスとも、テクノロジーのすごさみたいなものを感じさせてくれますが、特に注目しているのは「ログミー」です。先月、維新の会の橋下代表の発言をめぐって連日抗議が相次ぐということがありました。こういった報道があった際、まず本人の実際の発言を確認してみたくなります。しかし、発言の全文というのは検索しても出てきません。しかし、会見時の動画を全て書き起こした文章に誰もがアクセスできるようになれば、発言の真意をつかみやすい上に、もしもメディアの偏向報道があった場合でもユーザーが側でチェックできるようになります。
原文に識者の方々アクセス出来れば、識者それぞれのパースペクティブ(視座)に立った解説が出来るようになると思います。

3つのサービスをこんな感じでつなぎ合わせると面白いですよね。

・ログミーが会見動画を全て書きおこし
・Summly(サマリー)が書き起こし原稿を要約し、
・Gunosyが最適化配信をする

(Summlyの技術はニュース記事の要約なので、ログミーのソースとなっている対談を要約する等は難しいので現状は無理だと思いますが)。
もし、仮にこの仕組みが実現した場合、人の手が必要なのは取材現場で動画素材を抑える部分のみになります。

一方、ニュースにとって、事実をどのように切り取り、配置するかという人の手を介した「編集」が重要なのもまた事実です。編集の魅力=メディア自身の魅力でもあります。今後はその「編集」の領域にもテクノロジーが進出してくるのかもしれませんが、NAVERまとめが伸長していることからもニュースの文脈や背景という「人の手を介した編集」への需要は続いていくものと思います。今後テクノロジーの活用が進むと、以下の2つに分かれていくのではないでしょうか?

・短い文章で簡単に読める基本的なニュース→テクノロジーでニュース生成の自動化が進み、ポータルサイトで見る
・識者や個人のパースペクティブ(視座)が入った文脈的なニュース→人の手で編集され、テクノロジーで最適化配信される

とりあえず、ログミーの書きお越し原稿は、動画だとまるまるその時間を取られてしまいますが、テキストだと短縮されるという利点もあるので、オススメです。

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