リフレ政策の問題点の整理

2013年06月11日 10:32

最近、株価が乱高下を繰り返し、人々は株価が上がった、下がったと一喜一憂しているようだが、物事をきちんと見るには、一歩離れて客観的に観察することが必要だ。今の瞬間だけを見るのではなく、一年先、三年先、どうなるのか考えることが必要だ。

ここでは、今般行われている、日銀の大胆な金融緩和(リフレ政策)の問題点を、常識的ではあるが、自分なりに整理したい。


日本経済の3つの問題

日本経済の発展を妨げている問題点は何だろうか。これは主として以下の3つが考えられる。

(1)エネルギー資源など一次産品の高騰、
(2)新興国との競争(要素価格均等化圧力、技術優位性の喪失)、
(3)少子高齢化による国内市場の縮小と生産年齢人口の縮小(政府債務問題、社会保障問題を含む)。

これらの問題を解決しない限り、日本経済の持続的発展は望めないだろう。 

これらの3つの問題を、リフレで解決できるのだろうか? インフレ期待を起こし実質金利を下げる、というが、これは物理的には何もしていないヴァーチャルな操作だ、こうしたヴァーチャルな操作で、これら3つの問題が同時に解決することは考えられない。 

円安誘導にしても(1)と(2)に対する作用は逆向きだ。元々為替を一国の経済政策で誘導できるとは思えないが、それが実現したとしても、(1)と(2)が均衡する地点を超えて円安誘導すれば、マイナスの効果が表れる。昨今の円安でも輸出数量は伸びていないことから考えて円安の効果は限定的だ。

リフレで本質的な問題が解決しないことは明らかだ。それでは、どうするのだ、という声もあるだろうが、 私は先進国が経済成長を目指す時代は終わったと考えている。

日本経済の現状

客観的に見て、日本経済の年率1%前後の成長は、人口が減少していることを考慮すると、人口が年率1%前後伸びているアメリカと比較して全く遜色がない成長率であり、ユーロ圏が昨年に続き、今年もマイナス成長と予想されていることを見ても、全く問題がない。先進国の中では非常に良好な経済状況である。

政府は国民を豊かに出来るのか?

そもそも、政府が何か政策を打ったからといって国民が豊かになることはあり得ない話だ。

政府の役割は、義務教育やゴミの収集などの必要な公共サービスを提供することと、富の再分配機能である。簡単に言えば、マンションの管理組合のような役割であり、国民を豊かにする機能はない。

金融緩和にしても、物理的にはゼロサムの操作であり、調節機能以上の働きはない。

実際に小泉内閣時の景気拡大を検討しても、これは小泉構造改革で景気拡大したというよりも、アメリカもユーロもバブルで輸出が伸びたことによるものであると言えるだろう。

このように、政府が何か景気対策を打ったために、持続的な景気拡大が実現したという話は、今までに一度もない。

リフレの何が問題か?

それでも、リフレで株式市場が活況を呈し、それなりに経済成長が加速すれば、それでいいじゃないか、という向きもあるだろうが、最近の株価の乱高下を見ても分かるように、期待先行で上がった株価を維持するのは難しい。 上に挙げた日本経済の3つの問題は、ちょっとやそっとで解決するものではないからだ。

しかし、本当の問題はもっと先にある。 今般の日銀の大胆な金融緩和の問題点は、金融緩和を行っている現在にあるのではなく、将来、金融緩和を止めて、引き締めに入る時点で表面化する。 即ち、インフレが実現して、それを抑制する段階で、日銀は大量に抱えた巨額の国債を売らなくてはいけない。このときには、当然、国債の表面金利は上がっているわけだから、巨額の損失が発生し、これは国民負担になって跳ね返ってくる。

それより何より、インフレが実現した段階で、1000兆円に上る政府債務に高い金利が掛かり始めることで、政府債務は制御不能になる可能性が高い。

インフレが実際に起きた場合に生じる問題の大きさは測り知れない。今、デフレを非難している人たちも、インフレになって政府債務が急膨張をし始めれば、諸悪の根源とこき下ろしていたデフレこそが、財政破綻を防ぐ防波堤だったとデフレを懐かしむことになるだろう。  

私にはリフレは、狂人の戯言としか思えないのだが、皆さんはどのようにお考えになるだろうか。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑