本当の阿呆は誰やろか?

2013年06月17日 07:00

前回に続いてもう一回だけ、ヨハネス山城流のギンギンの大阪弁でやらせてもらいます。「意味が分からん(ところがある)」というお叱りも頂きましたが、次回からは標準語(中国語では「普通話」)に戻しますから、今回だけは堪忍して下さい。

経済の問題では、ワシが一番好きなのは、何と言っても野口悠紀雄はんの解説やけど、慶応の池尾和人はんや、同じ慶応の小幡績はん、法政の小黒一正はんの話も納得がいくわ。池田信夫はんもええけど、ちょっと言い過ぎ(切り捨て過ぎ)やな。

そやけど、今日は、小幡はんの「阿呆は誰か」という6月12日の記事に、ちょっとだけイチャモンをつけさせて貰いまっさ。大阪弁やとストレートに言えますさかいに、やりやすいわ。


円高株安がどーんときて、アベノミクスが「破綻した」とまでは言わんまでも、相当ヤバくなってきたので、色んな意見が出てきてまんな。これはええこっちゃ。ワシに言わしたら、経済の実体と関係なく、「思惑」だけで上がった株価は、「違う思惑」が出てきたら下がるのは当り前や。アレヨアレヨという間に上がったものは、アレヨアレヨという間に下がるのが当たり前や。

小幡はんは、「ほんまの阿呆は外人投資家や」と言うてはるけど、これは要するに、「安倍内閣が本気で成長政策に取り組む事などあり得へん。それやのに、これに期待した挙句に失望して、狼狽して売り浴びせてきてるのは阿呆や」という事のようやな。そやけど、ほんまにそうやろか? 

小幡はんも、最後のほうでは「分ってて、阿呆のフリをしているのもいる」という言葉を使うてはるけど、ワシは、外人投資家は、そんなに単純なわけでも、二極分化してるわけでものうて、「基本的には賢いけど、ちょっとだけ阿呆」というのがええとこやないかと思うけどね。

昔、細川内閣が出来た時、外人は「これで日本は変わる」と、えろう期待した。この時の結果は期待外れやったけど、小泉内閣の時には、少なくとも「郵政」という聖域には切り込んだ。「郵貯で吸い上げた民間の余剰資金をそのまま政治家が公共投資にまわす」という長年の枠組みを潰して、「この資金を民間の金融機関が市場で普通に活用する」という新しい枠組みに変えようとしたわけや。そやけど、リーマンショックで出鼻をくじかれたという不運はあったとしても、これもうまく行かず、結局は元の木阿弥になってしもうた。

そやけど、「自民党政権の下では永久に抜本的な改革は出来ん」と決め付けてしまうのも、どうかと思うでえ。諦めてしもうたら、もう永久に日本はアカンという事になってしまうやん。

アベノミクスの初期の幸運は、アメリカの金融緩和と同期が取れた事や。今回の逆風は、アメリカの政策が不透明になってきたからや。「何でもアメリカ」でちょっと悲しい気もするけど、これが本筋の話や。「成長政策に対する失望」も一つの要因ではあるけど、それが最大の要因であるわけやない。

外人が何で日本の「制度改革」や「成長戦略」に興味があるかというたら、その理由は単純や。「日本人を見ていると、よう働くし、『物事を何でもキチンとやる』という能力にかけては間違いなく世界一や。それやのに、何でかしらんが、『大きな視点で合理的な仕組みを作る』のがとんでもなく下手や。しかし、これは政治家がアカンからで、ちょっとまともな度胸のある政治家が出てきて、思い切った手を打ったら、明治維新の時のように、全てが変わるかもしれん」そう考えてるんやと思う。ワシら日本人かて、そう考えたらええんとちゃうの?

何で政治家がアカンかというたら、「国の将来」よりも「自分の当選」が大切やからや。ワシは、「自分の当選の為に必死になって動き回ってる」人達を非難するつもりはない。政治の世界で生き残る為にはしゃあない事やからや。そやけど、その上に立つ党首、つまり日本国の首相になる人が、「肚を決めて、この人らを切り捨てる」事が出来んのを見てると、ほんま、結構しんどいわ。

ちょっと滅茶やった「円安株高」の反動で、「円高株安」が予想したより早く、思った以上に大きなスケールで来たので、「自民党圧勝」は動かんと思うてた参院選の雲行きが、ほんの少しだけ怪しくなってきたみたいやな。ここで、アベちゃんは一つの岐路に立たされる事になったわけや。

一つの選択肢は、「既定路線を堅持して、読めてる票を確実にモノにする」事や。既定路線とは、要するに、「農業や医療を中心に既得権者の利益を死守する一方で、地方議員の命綱になってる『国土強靭化(公共投資バラマキ)』路線を促進する事や。TPPはぬらりくらりで行く。『成長戦略』は総花式にして、どの産業セクターもマアマアの評価をしてくれるようにする」というこっちゃ。

そやけど、もう一つの選択肢は、「党内の族議員や地方議員の怨嗟の声を押さえ込んででも、都市部の浮動票を取りにいく」事や。この為には、株価を再び上げて、「アベノミクスは破綻した」という批判を押さえ込む事が必要や。株価を上げる為には、「本気の成長戦略」を打ち出して、内外の投資家の歓心を買わないかん。その為には、農業や医療を中心とする既得権者の猛反発を受けるのも覚悟する事が必要や。

これは相当難しい決断やでえ。第一の選択肢のほうが度胸が要らんように思えるかも知れんけど、そうとも言えんよ。選挙の帰趨は都市部の浮動票で決まる。選挙の直前にもう一つ波が来て「アベノミクスは大失敗やった。誰が責任を取るねん」という大合唱になったら、大逆転の敗北もあり得るからや。これに対し、もし農協や医師会に今キツイことを言ったら、彼等は「あ、そうでっか。ほな、今回は民主党に投票しまっさ」と言うやろか? それで何人落選するんやろか?

あーあ、それにしても、野党が冴えまへんなあ。民主党はもうしばらくは「政権復帰」はないと思うから、「もっと小型になってもええ」と肚を決めて、「真面目な健全野党」路線を早う確立して欲しいわ。

「アベノミクスを早う修正せんと、ほんまに財政破綻がくるよ。そしたら、国民の生活はこんな風に滅茶苦茶になるよ」という分かりやすいメッセージを出して、今度の参院選を、本気で気合いを入れて戦ったらええと思うわ。「憲法問題」や「外交問題」については、あまり力まずに、「国家主義路線が行き過ぎた時のリスク」を丁寧に説明する事に徹した方がええ(今、中・韓との関係修復を訴えてみても、あまり好感は得られへんからね)。

「維新」については、もう何も言いとうない。「橋下はんが国政ばっかしやってはるさかいに、大阪の問題がいっこもスムーズに進んでへん」という批判もあるし、「一発逆転」ばっかし考えて、「八尾にオスプレイを持ってくる」なんて言わはるから、また話がややこしくなるわ。

「早く国政を仕切りたい」という逸る気持ちが抑えられんで、石原はんとか平沼はんとかのオジンと組んだのが躓きの始まりや。別に「右」でも「左」でものうて、常識にとらわれずに正しい事をどんどんやる「若さに溢れた関西の地方政党」に徹してたら、今頃はアベちゃんと「是々非々」で堂々と渡り合い、政権党の政策(例えば「成長戦略」のあり方)にも影響力を行使出来たのになあと考えると、ほんま残念やけど、今更繰り言をいうてみてもしゃあないわ。

あ、肝心な話が最後になってしもうた。「誰がほんまの阿呆なんやろか?」という問いに対する答えや。それは「調子に乗って結局逃げおくれる日本の素人投資家」やと思う。そやけど、これはまだ未来型で、今の時点で現実にそんな「阿呆」がいるというわけやないよ。

アベノミクスの三本の矢のうちの一本目の「金融緩和」は、要するにマッサージや。それも、相当な強揉みやな。昔、東京の赤坂に「強力(ごうりき)マッサージ」ちゅうのがあって、相撲取り上がりみたいなごついマッサージ師が客に悲鳴を上げさせてたけど、そのくらい強烈なやつやで。

外人は、日本政府がリスクをかぶって博打を打って、世界経済に一石を投じてくれるちゅうのやから、そら大歓迎やった筈や。日本をベースに仕事をしてる日本人とは違って、外人はいざとなればさっさと逃げられるからね。

日本人としてのこの評価は、まだ軽々にはでけへんけど、公平に見たら、「長年滞っていた血行を良くする」には、確かにこのような強烈なマッサージは有効やったかもしらんね。そやけど、マッサージだけでは、勿論、本物の体力がつくわけやないから、このことはよう認識しとかんといかんよ。

二本目の「公共投資」は、どんなに贔屓目に見ても、「必要悪」というのがええとこやな。栄養ドリンク剤みたいなもんやけど、一本100万円もするような高価なものやから、マジで「今回だけ」という事にしといたほうがええ。取り敢えずのところは、マッサージとの相乗効果で少しは元気になるから、今の時点では、これも「まあしゃあない」と考えるべきやろうね。あまりに長いこと、日本中がみんなあまりに元気がなかったからね。

そやから、日本人が「ほんまの阿呆」と馬鹿にされんようにするには、今度こそ、三本目の矢の「成長戦略」をどうしても実現する事が必要やと思う。この事は、なんもワシがあらためて言わんでも、みんながこれ迄に何百回も言ってきたこっちゃ。

政治家や経済学者はん、銀行屋はんや株屋はんは、「経済」というものを「金の流れ」だけで見る傾向があるけど、これはちょっと困った事や。金の流れは血の流れと一緒で、健康の為にはどうしても必要やとしても、最後に勝負を決めるのは、身体の仕組みそのもの、つまり「産業」でっせ。もっと言うなら、「産業の国際競争力」でっせ。一般の人らも、これを忘れてもろたら困ります。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑