すでに枯渇したメードインジャパンの神通力 --- 岡本 裕明

2013年06月18日 00:57

4、5年前を頂点に日本製品には神話に近いほどの圧倒的ブランド力があったと思います。その究極がシャープの亀山工場で作ったアクオスのテレビだったと思います。同社のテレビには当時、日本製ではなく、亀山製と銘打って販売されていました。マーケティングとして究極のブランド力志向だったと思います。それ以外にも当時の日経ビジネスなど、日本のメディアは日本技術力の圧倒性を説く記事が並んでいました。


もちろんこの流れは基本的に変わっていませんが、日本のプロダクトがどんどんガラパゴス化していったのも特色だったと思います。たとえば日本の電子レンジはスチーム機能を持たせるなど世界で唯一の水準にあるにもかかわらず、海外ではあまり売れていないはずです。理由は日本の食文化が水分を取り込む調理方法にあるのに対して海外は水分を飛ばすレシピが中心であるからです。ですから、北米の高級コンドミニアムはオーブンが二台標準装備となっているところもあるのですが、日本食でオーブンを使う料理は比較的少ないですから明らかにその様相にギャップがあるのです。よって海外での電子レンジの使い方は単純な解凍や温めるだけでよいともいえるのです。

トイレといえばウォッシュレットですが、これも北米で長くマーケティングしているにもかかわらず普及しない商品の一つだと思います。私も1995年からコンドミニアムの購入者にオプションとして提供してきたのですが、正直、普及しませんでした。ただ、近年、北米の公衆トイレで大きく変わったのがトイレの感知式自動洗浄、感知式洗面台、それにダイソンの急速ハンドドライヤーでしょうか? 理由は衛生と資源節約という観点で論理的なのだと思います。しかし、ウォシュレットだけはいまだに低普及率なのは北米の人には便器からの水が「気味悪い」存在なのだと思います。

寿司は裏巻きのロールが北米の基本であります。理由はもともと海苔という「黒い化け物」を口にできなかった人たちの為にカリフォルニアロールという裏巻きができたことで爆発的ブームを生みました。そして、いま、日本人の人が北米の寿司屋に行くものならば唖然とするようなロールがメニューにどんと並んでいます。それは一口では収まらないような巨大な裏巻きのロールにカラフルな色のソースやとびこを乗せて真っ白い皿にフォークとナイフが似合う感じで提供されてきます。個人的には、青山、原宿あたりでこれをやったらかなり受けると思います。

日本製は確かにすばらしい機能を持っているのですが、普及性という点で世界とあまりにも差がありすぎる気がします。それが日本の独特の文化だと言ってしまえばそれまでなのですが、そんな純粋培養で育つと「外来」が来ると一発で打撃を受けるのも特色なのです。

その一つはダイソンの掃除機や羽根のない扇風機だったと思います。特に掃除機においては日本製の二倍以上するような価格帯にも関わらず、そのマーケットシェアを大きく伸ばしました。それまで日本の家電メーカーがなれ合いのごとく取り合っていた市場でした。

洗濯機や冷蔵庫でハイアール製が大きく伸びています。理由は価格競争力なのですが、もともとは三洋でそれを中国企業が買い取るという流れの中で日本の市場にスムーズに受け入れられました。スマホは数年前にドコモが初めて売り出したサムスン製が今や当たり前のように受け入れられています。

メードインジャパンがダーウィンの進化論の中でどの位置にあるのかという風に考えてみると淘汰されつつあると見ている海外の批評家もいないわけではありません。私はそこまでは申し上げませんが、ファイナルプロダクツとしての優位性は一歩ずつ後退し、偉大なる部品メーカーと化しているような気がします。それは日本は基礎のアイディアだけを提供し、イマジネーションは海外で行うという流れかもしれません。

そういう意味でも今、海外に出ている日本のメーカーが海外の市場調査をじっくり行い、海外のための商品を海外で作る重要性が肌身で感じる時が来るのではないかと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2013年6月17日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。

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